ラオニッチ、錦織、ディミトロフ。
「ビッグ4超え」は彼らの使命である

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

『フェアリーテイル・ファイナルズ――おとぎ話のような決勝戦――』

 全豪オープン男子決勝戦のカードが決まった翌日の地元紙『ヘラルド・サン』の朝刊には、そうつづった大見出しが躍っていた。

ラオニッチは今年こそグランドスラム初制覇なるかラオニッチは今年こそグランドスラム初制覇なるか 35歳のロジャー・フェデラー(スイス)対30歳のラファエル・ナダル(スペイン)――。ふたりの対決は実に35度目を数えるが、グランドスラム決勝の舞台で最後に対戦したのは、2011年6月の全仏オープン。特に昨年は、フェデラーがひざのケガでウインブルドンを最後にツアーを離れ、ナダルも手首の負傷によりシーズンを早めに切り上げていた。その背景を思えば、今回の決勝戦はまさに「おとぎ話」のような結末であった。

 多くのファンが今回のフェアリーテイルに歓喜し、現にフェデラー対ナダルの決勝のテレビ視聴者数は全世界で高い数字を記録した。しかし、その陶酔の裏でささやかれたのは、テニス界の現状を危惧する声でもある。

「次の世代は、どこにいった?」

 それは過去数年、問われ続けてきた命題であり、今年最初のグランドスラムで改めて多くの識者の頭を悩ませた謎である。

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