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錦織圭も参戦。独自ルールのテニス団体戦
「IPTL」が再び日本上陸! (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by IPTL

 さらに今年、新たに参加が正式決定したのが、"元祖・天才少女"ことマルチナ・ヒンギス(スイス)である。1990年代にテニス界を席巻し、グランドスラムでシングルス5回、ダブルス12回、混合ダブルスでも5度の優勝を誇る、まさにテニス界のレジェンドだ。

 しかも、彼女が何よりすごいのは、36歳になった今も主にダブルスで、その天与の才を遺憾なく発揮していること。契約ラケットがヨネックスということもあり、日本に深い愛着を感じているヒンギスである。才能に経験で磨きをかけたその妙技を、IPTLでも存分に発揮してくれることだろう。

 その日本が迎え撃つのは、インドやフィリピンに拠点を置く、いずれもスター選手から成る豪華チーム。昨年は、錦織とガエル・モンフィス(フランス)によるアクロバティックな攻防がコート狭しと繰り広げられたり、小柄な奈良が女王セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)を破るなど、数々の魅力的なカードが実現した。日ごろのツアーではまずお目に掛かれない"珍ダブルス"や、選手間の交流などが見られるのも、IPTLの魅力のひとつである。

 ATPとWTAによるツアーがテニス界の基本フォーマットとなっている現状では、IPTLのルールや存在そのものが、どこか異質に映る側面もあるだろう。だが、1968年に"オープン化"される以前のテニス界には、「ナショナルテニスリーグ」や「ワールドチャンピオンシップテニス」など複数のリーグや組織が存在し、プロ選手たちはそれらの団体と契約することで賞金を稼ぎ、技を磨き、そして卓越したプレーで観客たちを喜ばせてきた。その意味では、IPTLのようなイベントはテニス普及の原点回帰であり、現存のツアーシステムから漏れてしまう地域でその魅力を伝えるという、伝道師的な役割を担っているとも言える。

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