全仏初優勝。正しかった、新女王ガルビネ・ムグルサの「選択」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

「彼はコーチとして、いろんな状況を経験している。それが私に必要なものだった」

 グランドスラムの長丁場をいかに過ごすべきか? どのように集中し、あるいはリラックスするのか? それらコーチからの教えと、自らがウインブルドンで経験して学んだことを織り交ぜながら、彼女は今回、悪天候のため集中の難しい全仏オープンの2週間を過ごしてきた。

「今大会の私は、とても落ち着いている。家族やスタッフたちと時間を過ごし、他のことには煩(わずら)わされず、テニスに集中もできている」

 勝利のために必要なものを丹念に選び取り、雑念を排除しながら、彼女は目指す高みへと進んでいった。

 明るく愛らしい笑顔が印象的なムグルサだが、胸に抱く野心を隠すことはない。今大会で決勝に勝ち上がったときも、対戦相手が女王セリーナであることを、彼女はむしろ歓迎した。

「決勝戦は、その大会でもっとも優れたふたりの選手が戦うべき場所。セリーナはベストの選手。その選手と戦えるのはよいこと」

 グランドスラムの頂点をかけた戦いに向け、ムグルサは、「対戦相手を尊敬はしている。でも、恐れてはいない」と、笑顔の下に闘志をたぎらせていた。

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