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全仏初優勝。正しかった、
新女王ガルビネ・ムグルサの「選択」 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 その野心的な挑戦者は、決勝戦で自分のプレーを貫いた。とはいえ、単なる強打ではセリーナを破ることはできない。ムグルサが勇敢だったのは、クロスの打ち合いからストレートへ展開し、ストレートが警戒されれば、今度はより鋭角のクロスへと、常にリスクを恐れず先に仕掛けて攻めたことだ。準決勝では、フィニッシュラインが近づくにつれて「勝利を意識した」と言ったが、決勝戦でのムグルサは、目の前の1ポイントしか見えていないようだった。第2セットの第9ゲームで4本のマッチポイントを逃しても、彼女に落胆の色はない。

 続く自分のサービスゲームで、すぐさま掴んだ5本目のマッチポイント――。強打を打ち込むと同時にセリーナが前へと出てきたとき、彼女が選択したのは、この試合初めてウィナーで決めた、"ロブ"であった。

 栄冠を手にした瞬間、身をひるがえし視線を送った先には、家族、コーチのシュミックやマルティネス......彼女を支える人々の歓喜に沸く姿がある。22歳のグランドスラム優勝は、2012年に全豪を制したアザレンカ以来の若さ。女子テニスが待ちに待った、「新時代の女王誕生」であった。

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