全仏初勝利のダニエル太郎が語る「27歳で迎える東京五輪」
ダニエル太郎、23歳――。職業、テニスプレーヤー、あるいは"tenista(テニスタ)"。
アメリカ人の父親と、日本人の母親を持ち、生まれた街はニューヨーク。生後ほどなくして日本に移住し、その後は大阪、埼玉、名古屋を転々としたのち、13歳のときにスペインのバレンシアに移り住んだ。それ以降から今日までの10年間、パエリアで有名なイベリア半島の温暖な街こそが、彼の居住地であり、テニスに打ち込む拠点であり、国際色豊かなひとりの青年を育んできた土壌である。
今年の全仏オープンでグランドスラム初勝利を挙げたダニエル太郎 昨年末にトップ100入りも果たした、日本テニス界が期待を寄せる「大型選手」。それは、豊かな陽光を浴びてすくすくと伸びた191cmの長身のみならず、日本人が苦手としがちなクレーコートでも欧米勢と渡り合えるスケール感にも由来するものだ。
そのダニエルは、昨年に続き、今年も全仏オープン本選に出場。初戦では2セットダウンからの大逆転劇で、グランドスラム初勝利を手に掴んだ。コート上では情熱的で粘り強く、オフコートでは穏やかでカラフルな感性を備えた、青年の素顔に迫る――。
――日本やスペインに住んだのは、お父さんの仕事(ファイナンシャル・アドバイザー)の関係なんですよね?
ダニエル太郎(以下:ダニエル) 基本的にお父さんは住みたい街に、住みたいときに行くので。アメリカにいたときは日本に憧れていて、日本に住んだらヨーロッパに住みたくなった......って、お母さんが言うには、ですが(笑)。
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