2016.03.14

錦織圭がドーピングを語る。
「最悪なのはトイレに行った瞬間」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 3月7日にマリア・シャラポワが自ら会見で明かした「ドーピングテストで陽性反応が出た」との告白は、瞬く間に世界中を駆け、あらゆるテニス選手たちにも衝撃を与えた。

テニス界のドーピングについて錦織圭が口を開いた この事件を「テレビのニュースで知った」という錦織圭も、そのひとり。同じマネージメント会社『IMG』に所属し、スタープレーヤーとしての責務を共有する彼は、自らの経験と想いをシャラポワに重ねるように、こう言った。

「これが50位、60位の選手だったら、故意にやっているかもとちょっとは思ったかもしれませんが、シャラポワレベルの選手が故意にやったとは思えないです」

 確信に満ちた発言の背景には、自身のトップ10選手としての経験が、根拠として重く横たわる。

「僕もトップ10に入ってから、ドーピング検査の量はすごく増えた。トップ10の選手が、自分からやろうなんて絶対にないと思います」

 シャラポワ同様に背負うものの多い彼の言葉は、実(じつ)を伴う説得力に満ちていた。

 世界アンチドーピング機構(WADA)が定めるトップアスリートたちへの要望や規定は、ここ10年の間にも厳しさを増している。2004年にWADAが施行した「ウェアアバウツ(Whereabouts)・システム」はその最たるもので、これはアスリートたちに抜き打ちのドーピングテストを行なうための制度。選手たちは、毎日の予定や滞在先を事前に報告し、WADAの検査官はそのスケジュールに則って自宅や滞在先を訪問し、サンプルを回収するのである。