錦織圭、今季最後の目標・ツアーファイナルズ出場なるか? (2ページ目)

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

「(プレー)できない痛みではないですし、しっかり自分自身の気持ちに勝てれば、試合に入っていくことは可能だと思う。本当に一試合ずつですね。目の前の一試合を全力で戦うことだけを考えてやっています」

 こう語った錦織にとって、ジャパンオープンは自分自身の限界への挑戦でもあった。

「(準々決勝のジェレミー・)シャルディ戦の頃から、限界を越えているな、とずっと思っていた」

 錦織は、決勝で第3シードのミロシュ・ラオニッチと対峙。錦織よりひとつ年下の23歳のライバルとは、今季4度目の対戦で「やるたびにバトル(接戦)になって、簡単に勝つことはできない」と錦織が語るように、お互い一歩も譲らない激戦となった。ツアー屈指のビッグサーバーであるラオニッチは、コンスタントに時速220キロ台のサーブを打ち込み、要所では時速230キロ台のフラットサーブを放って、錦織を苦しめた。

「コーチにも言われましたけど、本当にいいサーブが来た時はあきらめろ、と。そこで、くよくよしたり、いらついたりするのは絶対に良くない。集中力をいかに保つかがキーでした」

 勝負はファイナルセットに持ち込まれたが、ファイナルセット第10ゲームで、リターンミスをしない錦織が、ついにラオニッチをとらえ、初めてのブレークが優勝に直結した。これでツアー通算7勝目を挙げた錦織は、自身初の2週連続優勝を果たし、今季ツアー4勝。これは、現在の王者ジョコビッチの5勝に次ぐ勝利数で、ラファエル・ナダルとタイ記録だ。

「信じられなかったというのが、一番でした。今週は、試合中も試合以外でも、体のことを考えないといけなかった。メンタル的にもすごくタフだった。今日も、決勝に入る前に、試合でどう組み立てようか、なかなか考えられなかった。体のことで精一杯だった」

 準々決勝以降は、常に体力的な限界を超えていたが、それでもギリギリの戦いを制し、今までにない"強い"錦織を東京で披露すると共に、彼自身、かつて手にしたことのないような充実感を手にした。

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