同世代・神尾米が語る「43歳になったクルム伊達」の魅力 (4ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 それでも負けはしましたが、最高のプレイでした。マカロワでなければ、勝てていたと思います。今回の伊達さんのプレイを見て、今後に向けて可能性しか感じません。やっぱり、芝が大好きなんだな、芝での勝負が大好きなんだなって。前に出ていく見極めやレシーブのタイミングなんて、最高でしょ(笑)? そのあたりは、日本人の他の選手たちにも、ぜひ参考にして欲しいと思います。マネするのではなく、なぜ伊達さんにはそれができるのかを研究して、自分のモノにして欲しい。伊達さんも復帰して以来、他の選手たちと同じようにゼロから下部大会を回って、ここまで駆け上がってきたのですから。

 実は、復帰直前の伊達さんがエキジビションに向けて練習を始めたとき、私も週1回通っていたSSC(湘南スポーツセンター)に来ていたんです。そのときに伊達さん、SSC所属の選手たちと練習していたんですね。私が「何やってるんですか、伊達さん。ケガしちゃいますよ~」なんて冗談で言ったら、「なんかハマってるかもね」って笑いながら言ったりしていて……。でも、そのときの伊達さんの取り組みを見ていたら、ものすごく真剣だった。「あれ? 伊達さん、真剣だよ? 伊達さんという人は、真剣になったらすごいよ」って思っていたんです。ですから、現役に復帰したときも、それほど驚きはしませんでした。

 私は伊達さんのファンでもあるので、伊達さんのことは全面的に応援しています。自分のために自由にやって欲しいですし、これからも、私たちをワクワクさせて欲しいと思います。


【profile】

神尾米(かみお・よね)
1971年11月22日、神奈川県横浜市生まれ。母の影響で10歳からテニスを始め、東海大学付属相模高校卒業後の1990年にプロ転向。1992年の全豪オープンを皮切りにグランドスラムで活躍。1995年にはWTAツアーランキング24位まで登りつめるが、肩の故障により1997年2月の全日本室内テニス選手権の優勝を最後に25歳の若さで引退。現在はブリヂストンスポーツのイベントで全国を回るかたわら、プロ選手やジュニアの育成に携わっている。

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