デビス杯で歴史的快挙。錦織圭と日本代表チームが示した確かな成長 (3ページ目)

  • 神 仁司●取材・文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

「僕自身、(そこから)ランキングが20位以内に上がった。日本男子選手3人が、トップ100に入っていた時期もあった。他のWGの国を見ても、(個人の)ランキングは変わらないので、絶対に上に行けるという目標をしっかり持ってやってきた」

 植田監督も、錦織の成長があってつかんだWGでの初勝利であり、チームの大黒柱になったことを評価する。

「錦織は、1年前よりグランドスラムで戦うレベルが上がった。彼の体がより強くなったことを非常に強く感じました。(デビスカップで)3日間やれる体になってきている。各国のナンバーワン選手、たとえばフェデラーやナダルのように、3日間連続で出られる域に近づいている」

 各国のエースは、チームの勝利のために、シングルス2試合だけでなく、ダブルスにも出場するケースが多い。それは、代表戦での勝利の法則のひとつでもあるが、監督から全幅の信頼が寄せられている証拠でもある。

「やっぱり、3勝できるのは気持ちいいですね」と振り返った錦織は、独特のプレッシャーがかかる代表戦で、エースとしての責任をしっかり果たした。これまでは、とかく体力面が不安視されがちな錦織だったが、今回はケガなく戦い切り、フィジカル面で問題がなかったことは、彼にとって大きな収穫になっただろう。

 また、日本のエースとして成長し続ける錦織の存在が、内山にもたらした影響も大きかった。今後、若い選手が育って日本代表の選手層がさらに厚くなり、より強くなっていくための布石になったといえる。

 初のベスト8入りを果たした日本は、準々決勝(4月4~6日/有明コロシアム)で、デビスカップ2連覇中のチェコと対戦することが決まった。日本は、9大会連続してホームで戦えることになる。

 トップになればなるほど試合数が多くなり、普段のワールドツアーでの個人戦と代表戦の両立は難しくなる。主力のケガに泣かされたカナダは、その典型的な例だった。今シーズン好調をキープしている錦織が、トップ選手として今後個人戦と代表戦の両立にどう取り組み、レベルアップしていくのか見守りたい。

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