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デビス杯で歴史的快挙。
錦織圭と日本代表チームが示した確かな成長 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 カナダには、4大メジャーのダブルスタイトルをすべて持つ41歳の大ベテラン、ダニエル・ネスターがいる。ダブルスで絶対的な存在である彼は、錦織のダブルスのうまさに驚かされたという。

「錦織がシングルスでプレーするのは何度も見てきたが、ダブルスでもボレーが素晴らしく、あれだけネットプレーをうまくできることに驚いた。それに、思っていた以上にリターンでのラケットの合わせ方がよかった」

 また、「錦織のダブルスの能力が、内山の力をもっと引き出せる」と植田監督が期待していたように、錦織に触発されて、内山も好プレーを連発。1年前とは別人のような進化した姿を見せた。錦織と内山は、試合が進むごとにコンビネーションが良くなり、前評判では劣勢と考えられていたダブルスで、カナダペアを3-1で破る大仕事をやってのけた。

「頼もしいパートナーがいるので、自分がミスをしても何とかしてくれるという気持ちで、自分の思い切ったプレーを出しきった」(内山)

 錦織は、内山の武器である時速200キロのサーブを軸にした作戦を考え、思い切りプレーできるように意見を交換しながら戦った。そして、内山が、初めてのWGでの大舞台で臆することなくいいプレーをしたことを、日本代表の先輩として喜び、さらなる若手の台頭も望んだ。

「彼にとって、いい経験になったと思う。とても頼もしいデ杯の一員になる。これからは、僕よりも若い選手が育ってこないと、上に行く可能性が見えてこない」

 最終日のエース対決では、フランク・ダンシェビッチ(119位)が、3連戦の影響による腹筋のケガのため途中棄権し、錦織が勝利。思いがけない形で、日本のワールドグループ初勝利がもたらされた。

「複雑な気持ちで、素直に喜べないのも事実です。でも、それもチームの勝利だと思います。2回戦(ベスト8)に進むのは信じられない気持ちもある」

 こう語った錦織が、日本代表入りしたのは2008年。当時日本は、WGのひとつ下のアジア/オセアニアゾーンIに属していた。WGへの昇格がままならなかったそのころは、WGでの勝利など、夢のまた夢――。だが、錦織はWG昇格を信じてきた。

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