新コーチ、チャンとの化学反応。錦織圭が全豪で見せた成長の証

  • 神 仁司●取材・文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 オーストラリアンオープン(全豪)4回戦で、第16シードの錦織圭(ATPランキング17位)は、第1シードのラファエル・ナダル(1位)に、6-7、5-7、6-7で敗れた。

 3時間17分の激戦の末、両者が放ったウィナーは、共に36本だった――。

全豪4回戦でナダルに敗れ、ベスト16に終わった錦織圭全豪4回戦でナダルに敗れ、ベスト16に終わった錦織圭 スコアこそ、錦織のストレート負けだが、今までナダルが、1セットを取るのに1時間以上要することがあったのは、ノバク・ジョコビッチ(2位)やアンディ・マリー(4位)ら、ごく限られた対戦相手だけだった。それを錦織は、第1セット65分、第2セット62分、第3セット70分、3セット連続でやってのけた。

 錦織は、なるべくベースライン付近から下がらずに、ナダルの強力なトップスピンのかかったフォアハンドストロークと対等に打ち合い、時には、錦織の伸びのあるフォアハンドストロークが、ナダルのコート深くに入り、ナダルはスライスでしのがなければいけない場面もあった。

「やろうとしていたことは結構できて、自分が(ナダルを)左右に振る場面もあったので、無理しなくても戦えた局面が、今までの対戦より多くあった」(錦織)

 ふたりの対戦成績は、ナダルの5勝0敗だが、今回の6度目の対戦で、錦織はナダルに肉迫し、第2セットは4-2、第3セットは5-4と先行する場面もあった。しかし、セット終盤のナダルの驚異的な粘りで、錦織は逆転を許した。

「いくらいいプレーをしようとも、勝てないとどうしようもない。チャンスがあった分、余計にショックは大きい。悔いの残らないよう打っていこうと思っていましたけど、ミスが先に出てしまった。ああいうゲームを簡単に取らせてくれないのがトップ選手」(錦織)

 僅差の勝負を制したナダルは、あらためて錦織の潜在能力の高さを認めた。

「いくつかミスはあったけど、圭はとても攻撃的にプレーをした。僕は、たくさん走らなければならなかった。圭はトップ10プレーヤーになるポテンシャルがある」

 今回の全豪で、錦織は1回戦こそ暑さと強風の影響で5セットマッチを強いられたが、2回戦と3回戦はストレート勝ちを収め、シード選手らしく格の違いを見せつけて勝ち上がった。さらに、連戦による疲れがほとんどなく、今までよりフィジカルコンディションが維持できていることを自覚していたという。

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