【車いすテニス】王者・国枝慎吾。「あえて変化を求めた年だった」 (3ページ目)

  • 荒木美晴●文・写真 text&photo by Araki Miharu

―― 苦しい今シーズンを乗り切るきっかけになったプレイ、ポイントになった大会などはありましたか?

「それはやっぱりフットワークの良さ。自分の原点ですね。そこはいろいろ悩んだんです。勢いある選手が増えたので、試しにパワーを重視した新しい競技用車いすも作りました。でも結局、フットワークの良さが自分自身の武器であり魅力なので、スピードを落としてまでパワーを上げるというのはないかな、という結論に至った。これから車いすを変えるとしても、それはフットワークの良さを生かすことを大前提にしたものになる。いろいろ考えた年でしたよ、そういう意味では」

―― 12月の沖縄合宿は、どういう目標を据えているんですか?

「オーストラリアの2つの大会に向けての調整ですね。もうそろそろ出発なので、フィジカル的にも追い込まなきゃいけない時期です。協会としての合宿のあと、もう一回個人で沖縄合宿をやる予定です。暖かい場所で長期間のトレーニングをするのは貴重ですね」

―― 来シーズンの目標は?

「1月にシドニーの大会(1月10日~)に出て、その後の全豪オープン(1月22日~)を取る。それで勢いをつけたいですね。全体としては、変わらずグランドスラムです。今年2つ(全仏・全米)を逃していますし、来年は全部取りたいですね。内容にもこだわって、チャレンジする。来年も年間1位を目指します」

―― プレイの面で磨きたいところは?

「新しいショットというのはもうないけれど、今年は自分の決め球の精度次第で流れが大きく変わっちゃうことを痛感したので、まずはそこをきっちりと仕上げることが必要かなと思います」

―― 最終目的のリオパラリンピックに向けての「のびしろ」は、ご自身ではどう感じていますか?

「今のプレイスタイルがほぼ完成形かなということが見えてきました。車いすを変えれば少しは変わることもあるでしょうけれど、そこまで大きくプレイスタイルを変える必要はないと思う。あとは全体的にショットの精度を上げたり、少しパワーを付けたりと、そういう作業になりますね。テクニック面やプレイスタイルの面というより、フィジカル面の強化のほうが大きいかな。他の選手も急激に変わる様子もないし、自分はまだまだ通用すると感じているので、今のテニスにプラスアルファを付け足していくという感じ。頑張りたいですね」

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る