【テニス】錦織圭が語るウインブルドン、そして五輪への思い

  • 内田 暁●取材・文・撮影 text & photo by Uchida Akatsuki

ウインブルドンとロンドン五輪への意気込みを語る錦織圭ウインブルドンとロンドン五輪への意気込みを語る錦織圭 全仏オープンに向けた前哨戦を順調に戦う最中に、そのケガは錦織圭を襲った。

 腹斜筋の肉離れ――。錦織はその後、出場を予定していた前哨戦のみならず、クレーシーズンの最終目的地である全仏までも、欠場を余儀なくされたのだった。

 そうしてテニス界が土から芝のシーズンへと移行する中、ロンドンで行なわれたエキシビションの対レイトン・ヒューイット戦で錦織は復帰を果たし、ウインブルドンへの最終調整を行なったのである。その試合で錦織は、ひとつひとつのプレイと芝の感触を確かめるように動き、時にはヒューイットが「Too good!(良すぎだよ!)」とあきらめ顔で叫ぶほど、鮮やかな強打やドロップショットを決めて見せた。試合は6-7、3-6で敗れたものの、ほぼセルフジャッジのようなエキシビションで、両者とも笑顔も交えながら行なっていた。勝敗は、ほとんど意味を持たないだろう。

 さらに復帰戦とほぼ同時期に、錦織にとって2回目となるオリンピックへの出場も確定。そして今年のオリンピックが多くの選手にとって特別なのは、舞台が『ウインブルドンのコート』ということだ。

 ウインブルドン開幕まで1週間を切った中、ほぼ2ヶ月ぶりの実戦を、1年ぶりの芝でプレイした錦織。その現在地と、『聖地』での戦いに向けた意気込み、さらにはウインブルドンの後に控える『オリンピック』への思いを聞いた。

――エキシビションとはいえ、久々の実戦をやってみて自身のプレイやケガの状態はどうですか?

錦織 ケガの回復はまだ「100%」とは言い切れないですね。ただ、エキシビションやウインブルドンも含めて、無事に終えられたときに「100%」と言えるのかなという感じです。今日もまだ、少し不安がある中でやっていました。でも、こうやって普通に試合ができて、内容も悪くはないので、良い出だしかなという感じです。

――痛みはもうありませんか?

錦織 痛みはないですが、違和感というか......まだケガした部位の筋肉が固い感じがします。

――ケガをしたのはバルセロナ大会の準々決勝でした。どのような状況で痛めたのでしょう?

錦織 試合の日の朝に、少し張りがありました。ただ、張りぐらいは「いつものこと」と思っていたのですが、試合でサーブを打った時に、なんとなく引っ張ったような感じになったんです。そんなに悪いとは思わなかったので何ゲームか続けたのですが、だんだん痛みが大きくなって......。最後は身体を捻ることが一切できなくなりました。

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