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ラグビー日本代表の元通訳はデスメタルバンドのボーカル ツアーが白紙となった時にエディーHCからの連絡「これは運命だ」 (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文 text by Saito Ryutaro photo by 赤坂直人/アフロ
  • photo by 赤坂直人/アフロ

──現在は横浜キヤノンイーグルスの通訳を務めていますが、最初は2009年に就任され、2014年に一度退団される際に「音楽に専念したい」と考えていたそうですね。

「はい。海外からワールドツアーのオファーをいただき、そこで一発勝負しようと考えていたのですが、契約書まで交わしたのに先方の問題で白紙になってしまいました。これからどうしよう、と思っていた時に、エディーさんから『ワールドカップで日本代表の通訳をやらないか? 勝ちたいから一緒にやろう』というメッセージをいただいたんです。これは運命だ、と思ってエディーさんに会いに行き『やります』と答えました。

 もしワールドツアーに行っていたら代表の通訳にはなっていなかったでしょう。実は(エディー氏が日本代表HCに就任した)2012年にも声をかけていただいたのですが、当時はバンドとキヤノンに専念していたのでお断りしたんです」

──もともとエディーさんとは接点があったのですね。

「キヤノン在籍時に(エディー氏がHCを務めていた)サントリーさんとの合同練習などの打ち合わせで通訳を務めたのですが、その時からエディーさんは気にかけてくれていました」

──ワールドカップイヤーの2015年、正式に日本代表の通訳に就任されました。

「覚悟して臨みました。任期は180日間でしたが、当時は必死でしたから3年間ぐらいに感じました(笑)。エディーさんが激しい叱咤激励の言葉を使うことは知っていましたので、エディーさんの言葉を薄めることなく、しっかりと選手に伝えるよう努めました。僕には表現をマイルドにする権利は一切ないですし、エディーさんが言わんとすることをしっかりと日本人選手の心に刺さるように伝えていました」

──そのためには日本語の語彙力が求められます。

「ボキャブラリーが豊かだと言っていただけることが多いのですが、もともと言葉が大好きでたくさんインプットしてきた、というわけでもないんです。でもそう評価していただけるのは、これまで様々なアーティストが発する言葉を意識して聞いてきたからだと思いますし、メッセージの発信の仕方も身についていたのかなと思います」

──メッセージの発信という点では、佐藤さんのバンド活動とも大きく関連していそうです。佐藤さんは作詞を担当されているのでしょうか?

「はい。リリックは僕が英語で書いています。デスメタルはメッセージ性が強く暴力的な音楽ジャンルなので、ステージ上でお客さんをアジテートする際には強い言葉を使って叫びます。それはラグビーのように激しいスポーツをする選手を鼓舞する時に使うパワーワード、フレーズに通ずるものがあると思っています」

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