大学ラグビーの雄「ワセダ」は強くなったのか。監督が「あえて完成度を高めていない」と言った意図は? (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

ワセダは完成度50%くらい

 それを踏まえて今季、大田尾監督は「意図的に完成度を高めていない」と語る。

「春からフィジカル、ディフェンス、セットプレーと、今年のほうが伸びていく材料がある。今の時期にどれだけ強みとなり得るパーツを作れたか、というところで今日(対抗戦開幕)を迎えている」

 今季は「1/1000のこだわり」というスローガンを掲げた。

 まず監督がこだわったが、スキルがあってもフィジカルで負けては意味がないため、「体を大きくすること」だった。たとえばFL(フランカー)であれば体重95〜100kgなど各ポジションで目標体重を定めて、全体練習を1日2回から1回に減らして、その分、体を大きくする時間を作った。

 また、元日本代表PR(プロップ)でヤマハ発動機時代の盟友・仲谷聖史コーチにフルタイムでの指導を依頼し、スクラム練習の時間を増加させた。さらに6月からはトヨタヴェルブリッツでプレーしていた佐藤穣司コーチも加わり、さらなるFW強化を図っている。

 No.8(ナンバーエイト)からHO(フッカー)に転向した佐藤健次(2年)を中心とするFW陣は、スクラム、ラインアウトともに「完成度は50%くらい」と話す。「公式戦で新しい(FW)パックで組んでみて、ここからかなという感じ。伸びシロはまだまだある」(大田尾監督)と自信をのぞかせた。

 早稲田大自慢のBK陣は、SH(スクラムハーフ)宮尾昌典(2年)、SO(スタンドオフ)伊藤大祐(3年)、CTB(センター)野中健吾(1年)、松下怜央(4年)、WTB(ウィング)槇瑛人(4年)、岡﨑颯馬(3年)、FB(フルバック)小泉怜史(4年)と、大学随一のポテンシャルとタレント性を持った選手が揃う。

「本当に一戦一戦が大事になってくる。(大学1年時に続いて)もう一度、日本一を獲りたい」

 早稲田大史上初の「親子主将」となったNo.8相良昌彦(4年)はそう意気込み、王座奪還を目指す。

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