ラグビー姫野和樹が語る
「大事なのは、チームに情熱と愛情を注ぐこと」

  • photo by Takemi Yabuki[W]
  • composition&text by Kai Tokuhara

姫野和樹インタビュー vol.1

 ワールドカップ開幕戦のロシア戦、そして日本中にインパクトを与えた2戦目のアイルランド戦において、重戦車のようにパワフルなボールキャリーと勇敢なタックルで日本の前線のキーマンになっていた姫野和樹選手が登場。開幕前のインタビューとともに彼の魅力に迫る。

ラグビーとの出会いから魅力まで語った姫野和樹ラグビーとの出会いから魅力まで語った姫野和樹――まず、姫野選手は中学からラグビーを始めたそうですが、どこに惹かれてこのスポーツをやろうと思ったのですか?

当時から身体が大きかったこともあって、バチバチぶつかり合うコンタクトプレーに惹かれたのが一番の理由。パワーなら誰にも負けないと思っていましたし、実際に負けたことはありませんでした(笑)。ボールキャリーやタックルで相手を吹っ飛ばすのが大好きでしたね。でも、本当の意味でこのスポーツの魅力を実感したのは高校から。「チームのためにこの身体を張る」というところに価値を見出すことができたと言いますか、高校時代に芽生えた仲間意識やチーム愛が今の自分につながっていると思います。

――名門・帝京大学を卒業後、2017年にトヨタ自動車ヴェルブリッツに加入。すると初年度から主将を任され、同年秋には日本代表初選出。順風満帆なキャリアのようにも思えますが、これまで挫折などはあったのでしょうか?

もちろんありました。しかもわりと近年のことです。実はトヨタで主将を任されてから大きな壁にぶち当たりました。チームの将来を見据えた抜擢だったことは理解していたのですが、右も左もわからない中で自分よりもはるかにキャリアが上の選手たちに指示を出さなくてはならないことが本当に辛くて。毎晩、一人で涙を流すくらいタフな経験でした。

――その壁をどのように乗り越えたのですか?

もうこれはプレーと行動で示すしかないと開き直り、誰よりも練習で努力し、フィジカルトレーニングや身体のケアも徹底的にやりました。それを積み重ねた結果、次第に試合でいいプレーを出せるようになり、少しずつチームメイトから信頼を得られるようになっていったんです。

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