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田村優が4年の成長で得たこと
「試合の風景が遅く見えるようになった」 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 どこか近寄りがたいオーラを感じさせる時がある。

 RWC開幕直前の記者会見だった。「プレースキックの自信は?」と聞かれると、

「試合、見てください」。

 前回のRWCでは、五郎丸歩選手が重圧の中でプレースキックの高い成功率を残した。プレースキッカーとして、五郎丸選手と比べられると、田村は少しムキになった。

「それも大事な役割ですけど、僕、五郎丸じゃなくて、田村優なので...。自分のスタイルでしっかり、仕事を全部、できるようにしたいです」

 言葉の端々に強烈なプライドがにじんだ。SOと、五郎丸選手のFB(フルバック)では、ポジションも役割もちがう。田村は他の選手との比較をきらう。

 アイルランドやスコットランドなど、強豪チームのSO対決について聞かれると、「ラグビーは15人でやるスポーツなので。あまり個人がどうのこうのという見方はやめたほうがいいと思います」と語気を強めた。

 さて、初戦のロシア戦は? 昨年11月の対戦(○32-27)では、田村は交代出場し、ラスト20分、プレーした。

「ロシアは、捨て身とまでは言わないですが、やると決めたことを徹底してやってくるチームだと思います。すごくいいチームだなって。南ア戦でもらった反省をしっかり生かし、もっと自分たちにフォーカスしていきたい。ほんとうに楽しむことが一番かなって」

 同感である。自国開催のRWCの開幕戦の舞台に立つのである。日本代表の司令塔として。それこそ「一生に一度」の幸運だろう。ふだんラグビーの試合を見ない人たちにひと言? と聞かれると、田村は少し笑って、声を弾ませた。

「見なきゃ、ソンですよ」

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