2019.09.07

南アフリカの壁は高かった。
日本代表、トライまで残り50センチが遠い

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 谷本結利●撮影 photo by Tanimoto Yuuri

 4年前の「奇跡の再現」はならなかった――。

 9月6日、自国開催のラグビーワールドカップ開幕を控えるラグビー日本代表(世界ランキング10位)が南アフリカ代表(5位)と激突。埼玉・熊谷ラグビー場で、本番前最後の壮行試合を行なった。

南アフリカ代表の強力なスクラムに日本代表も負けていなかった 南アフリカ代表と言えば、2015年ワールドカップで日本代表が34-32と逆転勝利し、「ブライトンの奇跡」を起こした相手だ。世界屈指のフィジカル大国として君臨し、常にトップの座を争っている。7月にはオーストラリア代表を撃破し、「オールブラックス」ニュージーランド代表には引き分けた。もちろん、今回のワールドカップでも優勝候補の一角である。

 リベンジに燃える南アフリカ代表は、本番2週間前であろうとも、日本代表相手に手を抜く姿勢は示さなかった。オールブラックス戦を戦った23人中、22人が同じメンバーで臨んできたのである。

「南アフリカ代表は、世界でもっと大きな対戦相手。身長も高い。かなりフィジカルなチャレンジとなるので、選手にとってワールドカップの準備をするために必要な試合だ」

 セットプレーの強い相手と戦いたいと熱望した日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)がそう語ると、キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケルは、「この4年間、積み重ねてきたことのすべてを南アフリカにぶつけて、このチームがどれだけ強くなったか試したい」と腕を撫(ぶ)した。

 世界のラグビーファンが注目し、22258人の観衆が見守るなか、日本代表は世界最高峰のチームに戦いを挑んだ。しかしながら、結果は7−41の大敗。前半3つ、後半3つの計6トライを奪われ、残念ながら最後まで勝機の流れを掴むことはできなかった。

 ただ、フィジカル大国相手に十分に戦えているポジティブな場面もあった。日本代表はこの試合、ほぼ事前のゲームプランどおりに戦うことができていた。

 まず、キックを蹴る際はタッチに出さず、相手の反則後もクイックタップでリスタートするなど、大きな相手FWを走らせて疲れさせるためにセットプレーを少なくしようとしていた。さらに、前に出てくる相手のディフェンスに対しては、ダブルラインや飛ばしパスを使って大きく展開し、端(エッジ)のスペースを突くこともできていた。