100点中1点→完全復活へ。頼れる男マフィがサンウルブズ・デビュー (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 マフィがピッチに入った時は、サンウルブズが21-5でレッズを大量リードしていた。

 だが、スクラムとラインアウト、モールを軸とした相手の猛反撃を受け、攻撃機会が減っていった。それでも、マフィはからだを張った。激しいタックルで何度もピンチを救う。

 見せ場は後半28分だった。3連続トライで21-26と逆転された後のラインアウト。マフィはラックからボールをもらうと、持ち前の強じんな足腰を生かして突進した。タックルで倒されてもダウンボールし、すぐに立ち上がってボールを拾って前に出た。ゴールライン直前に迫り、SH(スクラムハーフ)内田啓介の逆転トライ(ゴール)につなげた。

 ラスト5分。マフィはタックルで顔面を強打した。駆け付けたドクターは両手で「×」印をつくったが、タフガイは立ち上がって、プレーをつづけた。31-34で試合終了。サンウルブズは国内初勝利を挙げることはできなかった。

 マフィは少し変わった。スクラムを組む前にはフロントローに檄(げき)を飛ばし、ゲームが途切れると、チームメイトによく声をかけるようになった。自主謹慎などで苦しんだからだろう。プレーができるヨロコビ、チームをリードする責任感が増したようにみえる。言わば29歳の自覚である。

 マフィが所属するNTTコミュニケーションズの内山浩文GM(ゼネラルマネジャー)はこの日のマフィのプレーを見て、「とてもうれしかったですね」と喜んだ。

 チーム復帰後の変化を聞けば、「練習に取り組む姿勢」を挙げた。

「練習中でもチームをよく鼓舞するんです。率先してからだを張り、厳しいことを周りに言うようになりました」

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