2度目のW杯を目指す33歳。
サンウルブズ加入のFWの要は衰え知らず

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 ラグビーワールドカップイヤーとなった2019年1月14日、南半球の世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」に参戦して4シーズン目のサンウルブズが本格的に始動した。2月16日にシンガポールで行なわれるシャークス(南アフリカ)との開幕戦に向けて、年始早々急ピッチでチームを仕上げている。

33歳の山下裕史は数少なくなってきた2015年W杯メンバーのひとり33歳の山下裕史は数少なくなってきた2015年W杯メンバーのひとり サンウルブズが今年から新しく練習拠点に選んだのは、千葉県市原市にある「市原スポレクパーク」。そこでの合宿で、巨漢を揺らしながら大粒の汗を流していたのが、2度目のW杯出場を目指す右PR(プロップ)山下裕史である。

 身長182cm、体重は約120kg。足のサイズは29.5cmで、ジャージーのサイズはなんと5XO――。立派なアンコ型の体格を持つベテラン選手だ。

 山下はラグビーファンに「やんぶー」という愛称で親しまれ、昨秋の日本代表でも2試合に出場して代表キャップ51を誇る。所属する神戸製鋼では15シーズンぶりのトップリーグ制覇に貢献し、トップリーグの「ベスト15」も受賞。元日に33歳の誕生日を迎えたが、衰えを見せる気配はまったくない。

 そんな数々の実績を残している山下だが、実はサンウルブズの一員となるのは今シーズンが初めてのことだ。「何をさせられるんだろうと思うと、ワクワク、ドキドキという感じ。ここ(サンウルブズ)にいないと(W杯の)スタートラインにも立てない。選ばれたからには、ゴールラインを目指してがんばりたいです」。サンウルブズでの初練習で、山下はトレードマークの大きな笑顔を見せた。

 サンウルブズがスーパーラグビーに参戦した目的・意義のひとつは、もちろん日本代表の強化にある。ただ、今年はW杯イヤーであるため、昨年に日本代表やサンウルブズで出場時間の多かった選手は、1月のトップリーグのカップ戦に出場せず、現在は完全休養の期間に充てている。その主力組がサンウルブズに参加するのは、早くても3月の予定だ。

 そのため、プレシーズン合宿には、2019年W杯に向けた日本代表候補38名中15人しか参加していない。合宿の初日は30名のうち、日本人選手は10名しかいなかった。

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