帝京大の10連覇が潰えた要因は。「悔しいけど、胸を張って帰ろう」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 しかし、天理大はFWの平均体重で帝京大より約9.75kg軽いFW陣が奮闘見せ、スクラムで4度もペナルティを誘うなど、試合の主導権を渡すことはなかった。帝京大の秋山主将は「天理大のスクラムはまとまりと低さがあった。8人で組まれ、一回当たってから次のプッシュがすごく強くて、崩されてしまった。(スクラムが押されて)足にもきてしまった」と肩を落とした。

 後半も試合を優勢に進めた天理大は、13分にはゴール前でモールを形成してフィフィタがトライ。さらに18分にもスクラムを起点に久保が抜け出し、最後はマキシがインゴールにトライ。スコアを26-7とし、ほぼ勝負を決めた。

 帝京大も負けじと反撃を続けたが、天理大のディフェンスの前に再びゴールラインを超えることはなかった。「僕たちが走り続ければ相手はバテると思ってがんばったが、粘り強く80分しっかりディフェンスされた」(秋山)。

 天理がリードしたまま、29-7でノーサイドの笛が鳴った。始まりがあれば、終わりもある。2009年から続いてきた帝京大の連覇がついに潰えた。

 10年ほど前、帝京大は栄養面を見つめ直し、フィジカルを前面に押し出したラグビーを固め、連勝街道を歩み始めた。戦略や戦術面でも毎年ブラッシュアップを図り、大学ラグビーを席巻してきた。

 しかし、徐々にライバルチームも個々のフィジカルやフィットネスを鍛えて、トップリーグ経験のある監督やコーチを招聘し、帝京大に追いつけ追い越せと努力を重ねてきた。そして多くのチームが帝京大と互角に戦うことができるようになり、ついに今年、天理大が連勝記録を止めた。

 試合後、さすがに落胆の隠せなかった岩出雅之監督も、「天理のすばらしいラグビーがすべての敗因です。我々より相手が上だった」と相手を称えて、素直に敗戦を認めていた。また、秋山主将は「ラウンドに立てなかったメンバーも含めて、帝京大全員で戦った結果がこの結果です。今日の結果をしっかり受け止めて、しっかり来年にこの悔しさをつなげてもらいたい」と、目を赤くして前を向いた。

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