2018.12.24

早慶戦は劇的フィナーレ。
そこには4年生の矜持とドラマがあった

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 小雨の降る曇天のなか、意地と意地がぶつかり合う伝統の一戦は、歓喜と絶望が混じり合う劇的な幕切れとなった。負けたら終わりのトーナメント戦は、やはり4年生のたちの矜持(きょうじ)が勝敗を決めた。

逆転トライを決めてこの日のヒーローとなった佐々木尚 12月22日、ラグビー大学選手権の準々決勝が行なわれ、関東大学ラグビー対抗戦で8年ぶりに優勝(帝京大と同時優勝)した創部100周年の早稲田大と、対抗戦3位の慶応義塾大が激突。大学選手権の舞台で「臙脂(えんじ)と黒黄」が激突するのは、実に11シーズンぶりのことである。

 11月23日の対抗戦で、慶応は早稲田と接戦を演じるも14−21で敗北。慶応創部初の医学部キャプテンSO(スタンドオフ)古田京(きょう/4年)は入学して以来、早稲田に4連敗を喫しており、「このまま早稲田に負けたままでは終われない」と気合いを入れていた。また、金沢篤ヘッドコーチも「余計なプレッシャーを与えたくなかった」と、この週は報道陣をシャットアウトする徹底ぶり。

 一方の早稲田は、対抗戦の優勝(2位扱い)でシードとなり、この準々決勝が3週間ぶりの実践。「ゲームライクな練習ができていなかったので、懸念はあった。慶応は4年間(早稲田に)勝っていないし、対抗戦で悔しい負け方をしているので、気持ちを入れてくる。しぶとさや執念の怖さがあった。厳しいゲームになるなと思っていた」。試合前に相良南海夫(なみお)監督が語っていた言葉は、現実となる。

 早稲田は前半3分にWTB(ウイング)佐々木尚(4年)、38分にPR(プロップ)小林賢太(1年)がトライを挙げ、12-7で前半を折り返す。ただ、個々の選手たちの立ち上がりのスピードやリアクションは、前半から慶応のほうが勝っていた。すると慶応は、後半15分に4年生のNo.8(ナンバーエイト)山中侃(あきら)、24分には古田キャプテンと4年生がトライを重ね、ついに15-19と逆転に成功する。