神戸製鋼がV。空白の2年を経た日本代表FBが平尾誠二に勝利を捧ぐ (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 2013年5月、山中は「ラグビーのことだけを考えたいし、チームに貢献したい」と、ふたたび神戸製鋼にプロ選手として復帰する。「社員として仕事をし、いろんな人に支えられていて恩返しをしないといけないという思いがあったので、気持ちは折れませんでした。メンタルも強くなりました。僕だけしか経験できなかったことをラグビーの部分でもプラスにもっていきたい」。

 2年遅れで神戸製鋼ラグビー部のキャリアを歩み始めた山中に対し、平尾さんは復帰後もサポートし続け、晩年は病床からも気にかけていたという。「平尾さんはずっと、『がんばれよ!』と期待してくれていました。平尾さんはトップリーグの優勝を目標にしていたので、それが今日の試合で叶ってうれしいです!」。

 今年の秋、山中は1年ぶりに日本代表復帰を果たした。トップリーグを無敗で走る神戸製鋼で今年からFBを務めていたことが、ラグビー日本代表の指揮官ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)の目に止まったのだ。「DCや外国人選手のおかげかもしれません」。DCとは、今年、神戸製鋼に新加入した元ニュージーランド代表SOダン・カーターのことだ。

 山中は長らく、平尾さんと同じ10番や12番としてプレーしてきたが、3度の世界最優秀選手賞に輝いているカーターの加入によってFBを務めることになった。だが、「DCには敵わないですし、彼が10番をつけるならしょうがない。今はFBとして伸び伸びとやれているので楽しい」と、新しいポジションに前向きな姿勢を見せている。

 11月3日に行なわれた日本代表対ニュージーランド代表戦では、15番をつけて先発。しかし、オールブラックス相手に消極的なプレーに終始した。その結果、イングランド代表とロシア代表戦ではメンバー外となってしまった。

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