2018.03.18

「おかえり、ファーディー」。ラグビー
元豪州代表、震災から7年の釜石へ

  • 松瀬 学●文・写真 text & photo by Matsuse Manabu

「ファーディー!ファーディー!」

 小さな体育館に子どもたちの愛らしい掛け声が響く。被災地・岩手県釜石市の小佐野小学校。歓声の先では、あごひげ、坊主頭の197cmのオーストラリア人が楕円のボールを追いかけていた。

久々に釜石に戻ってきて、建設中のスタジアムを見学するスコット・ファーディー選手
 3月12日の月曜日の午前。震災時、釜石のラグビーチーム、釜石シーウェイブス(SW)に所属していたスコット・ファーディー選手が6年半ぶりに”里帰り”した。『復興「ありがとう」ホストタウン事業』の一環だ。小学校では、6年生の子どもたちと交流し、タグラグビーを一緒に楽しんだ。

「子どもたちが元気で疲れました」と、ファーディーは顔をほころばせた。33歳のラグビーワールドカップ2015年大会の豪州代表選手。まじめな性格は相変わらずで、子ども相手でも必死に走り回った。

「最高の時間を過ごせました。ずっと釜石のことを想っていました。懐かしい。まちの復興の様子も見ることができて、うれしかったです」

 あの日、この日参加した子どもたちはまだ、4歳か5歳だった。2011年3月11日。ファーディーは釜石に来て3年目だった。「人生を変えるような瞬間」を体験した。

 練習後、山側の自宅に戻った時に大きな揺れが始まった。まちの海側は津波に襲われた。釜石では1000人を超える死者・行方不明者を出した。混乱、絶望、失意……。

 震災直後、釜石を訪ねた際、ファーディーは怪力を生かし、元ニュージーランド代表のピタ・アラティニらチームメイトと一緒に救援物資センターで大きな荷物を運んでいた。ボランティア活動だった。