サントリー2冠達成。立役者となった
165cmの新主将、その名は「流大」

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 ビールの色を彷彿とさせる「黄色のジャージー」が、日本のラグビーシーンを17戦全勝で駆け抜けた。1月29日、東京・秩父宮ラグビー場で日本選手権の決勝が行なわれ、サントリーサンゴリアスがパナソニックワイルドナイツを15-10で撃破。4年ぶり7度目の優勝を手にしたサントリーは、トップリーグ制覇に続いて「2冠」を達成した。

SH流大はキャプテン就任1年目でサントリーを頂点に導いたSH流大はキャプテン就任1年目でサントリーを頂点に導いた 決勝でのサントリーは、持ち前の「アタッキングラグビー」を封じられた。だが、ディフェンスで粘りを見せ、SO(スタンドオフ)小野晃征が5本のPGを決めて競り勝ちノーサイド。そのチームの中心には、24歳の若きキャプテンがいた。帝京大出身のSH(スクラムハーフ)流大(ながれ・ゆたか)だ。

 胴上げ後、少し目の奧を赤くした身長165cmの小さなスキッパーは、「ゲームプランとして予定していたものではなかったですが、ファイナルは1点差でもいいから勝つことが大事。(PGで)3点を積み重ねていく我慢強いラグビーができたことが結果につながった」と破顔した。

 昨シーズンのサントリーは、過去最低となるトップリーグ9位まで低迷。「常勝軍団」への復活を目指す今シーズンは、2012年度にヘッドコーチ(HC)としてトップリーグと日本選手権優勝に寄与し、U20日本代表やエディー・ジョーンズ体制下の日本代表でもコーチとして研鑽を積んだOB沢木敬介を監督に据えた。そしてまず、新監督が「改革の旗印」としてキャプテンに選んだのは、昨シーズン先発1試合・途中出場5試合で計158分しかプレーしていなかった2年目のSH流だった。

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