【ラグビー】スコットランドに惜敗。若き戦士たちの2019年への宿題 (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 日本代表初先発の松田はランで非凡さを見せたが、キック処理では再三、もたついた。特にラスト4分でのキック処理。2点のビハインド。「自分の中ではランという選択肢しかなかった」と振り返る22歳はファンブルして、相手との間合いが詰まりながらも、強引に突破を試み、つかまって「ノットリリースザボール」の反則を取られた。

 PGを蹴り込まれ、16-21とされた。セオリーはキックだろう。ここはエリアを稼ぎ、PGでもいいから敵陣での逆転をかける。いずれにしろ、もっと幅広い選択肢を持たなければならない。

 スタンドには、ケガの五郎丸歩のスーツ姿があった。「五郎丸の代わりの先発出場は?」と聞かれ、松田は「五郎丸さんと同じ、日本の15番(FB)を背負うことを誇りに思いました」と言った。

「でも自分のプレーを発揮できなかった。一つひとつのプレーの大切さ、ミスの大きさというのを改めて肌で感じました。大舞台でのプレッシャーを、まだまだ楽しみに変えることができませんでした」

 FWのホープ、24歳のロック、小瀧尚弘は顔面や首筋に血のりがついていた。体は張った。でも、力不足を痛感した。「みんなに合わせる顔がない」と声を絞り出した。

 日本代表は頑張った。でも、勝てなかった。健闘、善戦止まりだと、かつての代表と同じである。24歳のプロップ、垣永真之介は「テストマッチは1点でも勝てば勝ちなんで」と言葉に悔しさをにじませた。つぶれた右耳には赤い鮮血がにじんでいた。

「(相手のスクラムは)強かった。まとまりというか、重みというか、チームとしての文化だと思う。経験の差が出ました」

 やはり経験は宝である。では、日本代表は2019年W杯に向け、どうチーム文化を醸成させていくのだろうか。特に若手は悔恨を味わい、それぞれの課題を知った。それが何よりの収穫だっただろう。

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