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【ラグビー】トップリーグ王者に完敗も、帝京大が見せた気迫と成長 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 特筆すべきは、パナソニックが得意とするターンオーバーをほとんど許さなかったことである。ディシプリン(規律)と基本プレーがしっかりしているからだろう、反則は相手の「12」に対し、帝京大はわずか「2」だった。ランプレーにしても、フルバックの位置に入った尾崎晟也ほか、スタンドオフ松田力也、ウイング竹山の才能は輝きを放った。

 やはりチーム環境は学生ではずば抜けている。例えば、坂手は昨年12月の試合で左ひじを脱臼したのに、約1ケ月で後半40分間プレーした。左肩でタックルにも入った。東芝病院の高圧酸素カプセルを利用したほか、帝京大学スポーツ医科学センターやチームのトレーナー、栄養士のサポートを受けた。坂手主将は「効果はありました。周りに感謝したい」と言う。

 もっとも、それでもTL王者との差は大きかった。何が? と問えば、坂手主将は「巧さ」と答えた。

「タックルに入れたし、人数も合っていたのに、相手にゲインされてしまった。(パナソニックは)体の使い方が巧いのです。簡単に倒れないし、体を少しずらしてくる」

 アタックで言えば、局面を重ねても、なかなかトライを奪えなかった。最後にパスミス、キャッチミス、コミュニケーションミス、判断ミスが出てしまった。これはもう、プレーに余裕がないからだろう。

 フィジカルはもちろん、フィットネス、スキル、連係プレー、状況判断……。それぞれの質もあるが、余裕を作るためには、なんといっても“慣れ”、すなわち経験値アップである。岩出監督は高速道路の運転に例えた。

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