【ラグビー】美しき勇者「サクラセブンズ」、リオのメダルが見えた

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 女子ラグビー界の総力でつかんだ五輪キップである。表彰式後の"ビクトリーラン"。観客席には辛苦の時代を知る歴代の15人制、7人制日本代表の選手や、代表落ちした7人制スコッド(代表候補)たちも応援に駆けつけていた。晩秋の夜の寒さの中、涙ながらに祝福してくれるラグビー仲間の姿を見た時、33歳の一児の母、兼松由香も泣いた。

「びっくりしました。これまで一緒に戦ったメンバーや先輩たちも喜んでくれている。みんな、男子に負けないぐらい、ラグビーにかける思いが強かったと思うんです」

リオ切符を勝ち取ったサクラセブンズリオ切符を勝ち取ったサクラセブンズ

 1980年代から始まった日本の女子ラグビー。ずっと陽の目を見なかった女子ラグビーが、これほど世間の注目を集めるとは。この日の観客が約6000人。バスケットボールから転向してきた中村知春主将も言った。

「代表選手12人、スコッドのみなさん、過去に桜を背負って戦ってくださった女子選手のみなさん、その方々の積み重ねがあったから、いまの私たちがある。みなさんに、やっと(五輪キップを)取ったという報告ができて、うれしかったです」

 29日。東京・秩父宮ラグビー場で行なわれた7人制ラグビー(セブンズ)のリオデジャネイロ五輪女子アジア予選の日本大会。日本代表『サクラセブンズ』が香港大会に続いて優勝し、リオ出場を決めた。

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