【ラグビー】ウワサの「ドローン」が日本代表を強くする? (4ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 さらにジョーンズHCは、イングランド代表やウェールズ代表が「ワットバイク」という選手のワット(速度×力)を数値化できるエアロバイクを導入したと聞けば、日本代表にも持ち込んだ。このバイクは2012年のロンドン五輪時、イギリス代表のボート競技と自転車競技のメダルラッシュを支えた機器のひとつだという。

 今春、フォワード(FW)の選手たちがこのバイクに乗り、5人中4人が2000ワットという数字を叩き出した。この数値は、日本の競輪のトップ10に入る選手たちに匹敵するのだという。6秒間でどのくらいの最高数値を出すかがひとつの指標となっており、この数値が高い選手ほど、試合でパワーを出せるということになる。特に相手とのコンタクトが多いバックロー(6番~8番)やアウトサイドCTB(13番)は、この数値が高いほうが有利となるだろう。

 もちろん、ジョーンズHCは選手の体重や体脂肪なども測っており、2012年の秋から2013年の春にかけてFWの選手たちに向けて、「スクラム強化のために、5キロ筋量を増やしてほしい」と具体的に指示したこともあった。いずれにせよ、こうした科学的な数値やデータを使うことで、選手のモチベーションや達成感は確実に高まるはずだ。また、数値やデータを継続的に計測し続けることで、指揮官としてはベテランや若手に関係なく、「常に成長し続ける選手」を呼び続けることができるのだろう。

 2014年11月に過去最高の世界ランキング9位にもなったラグビー日本代表(現在は11位)。ラグビー界における世界最先端の科学的アプローチが、日本代表のチーム強化に一役買っていることは間違いない。ワールドカップまで残り100日あまり。今日も「ドローン」に見守られながら、エディー・ジャパンは「W杯ベスト8進出」という目標に向かって邁進している。

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