【ラグビー】雪辱に燃える早大と明大、V6狙う帝京大に勝てるのか? (2ページ目)

  • 松瀬 学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 志賀由佳●写真 photo by Shiga Yuka

 日本代表育成選手のフッカー坂手淳史ほか、プロップ森川由起乙、主将のSH流大(ながれ・ゆたか)、2年生コンビのSO松田力也、FB重一生(しげ・いっせい)......。し烈な部内競争の中で、プラチナのごとき素材が輝きを増している。しかも基本に忠実。倒れたらすぐ、立ち上がる。パスしたら、すぐフォローに走るのだ。

 この時点での昨季との大きなちがいは、スクラムの安定である。パナソニックのスクラムコーチでもある元日本代表プロップの相馬朋和がFWコーチとなり、8人でスクラムを組む意識を徹底させている。相馬コーチは「勝つチームの文化ができ上がっている」と後輩たちの強さの秘密を説明する。

「単純にフィジカルの部分が他校より、強いですね。体も大きい。特に下半身が。そんな連中が、しんどいことに文句を言わず、競い合っているのですから、そりゃ、強いに決まってますよ。スクラムも本数組めば、まとまりが自然と出てきます」

 ついでにいえば、日本代表育成選手のロック小瀧尚弘もいる。昨季のレギュラー組のCTB権裕人、森谷圭介らもいずれ、ケガから復帰してくる。いったい、どこまで強くなるのか。あえて不安といえば、経験不足のFB重のキック処理ぐらいか。

 これほど強いとふつうは選手たちに油断が生まれるのだが、岩出監督の好指導ゆえか、それが微塵もない。シーズンを通し、FWがよりパワーアップされれば、「打倒!トップリーグ上位」も射程圏内に入ってくるだろう。

 帝京の『連覇ストップ』の一番手はやはり、早大だろう。帝京大に完敗したが、試合の入りは悪くなかった。大学選手権準優勝の昨季のレギュラーからFWは8人中6人が抜けた。とくにフロントロー陣の強化が課題か。スクラムはプロップの高橋俊太郎、佐藤勇人らが強くなったが、昨季と比べると、コンタクト力、ディフェンス力が見劣りする。

 190センチの2年生ロック、桑野詠真の成長が頼もしい。そして、1年生SH杉本頼亮(京都・桂高)が楽しみ。故障で戦列離脱中のフランカー布巻峻介、日本代表FBの藤田慶和が戻って初めて、「打倒!帝京大」が見えてくる。

 今季の早大のテーマは『反応とクレバーさ』である。後藤禎和監督は「数で勝つ」と言い続けている。つまり、クイック展開、すぐに立ちあがり、走り勝つラグビーである。

「鍛練あるのみ。ことしもスクラムにはこだわる。フィジカルの部分で極力、追いついて、あとはメンタル、創意工夫です。クレバーさで勝負します」

 ポイントはSO小倉順平のゲームメイク。速いテンポで球が回れば、日本代表育成選手のWTB荻野岳志、1年生WTB本田宗詩のスピードが生きてくる。

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