【ラグビー】代表強化に直結。TLプレーオフで注目すべき4強のスタイル (2ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

 日本代表の基礎的な部分(フィットネス&フィジカル)はある程度作られ、今年は次の段階への強化に移っていく。大舞台で勝敗を決めるのは、相手のミスを突けるか、自分たちの傷口が拡がることを防げるか、である。つまりは、全員の判断の速さ、反応の速さである。

 そういった意味で、日本代表が加えたい形が、パナソニックの「リアクション&カウンターラグビー」であろう。攻守のバランスが取れた『堅守速攻』のスタイル、すなわち「切り返し」である。パナソニックは第2ステージを7戦全勝の首位で突破した。第2ステージの失点(105点)は4強でもっとも少なかった。

 豊富な豪州代表経験を持つSOベリック・バーンズほか、スーパーラグビーでプレーするフッカー堀江翔太とSH田中史朗、さらに中心軸に判断の速さに長(た)けた好選手がならぶ。ターンオーバーから一気に山田章仁、北川智規の両WTBまで回す形はスピードと精度を増している。こういった逆襲を日本代表でも見たいのである。

 パナソニックは今季、第1ステージ(40-22)、第2ステージ(14-12)と東芝に連勝している。ただ、個々のフィジカルが強い東芝に対し、ブレイクダウンでは苦しんだ。ポイントはここの攻防と、パナソニック・田中、東芝・小川高廣の両SHの球さばきである。

 東芝は、SOに故障明けのWTB廣瀬俊朗を起用する。状況判断力と、前に出る推進力を買っての布陣だろうが、チームの士気が高まるのは間違いなかろう。東芝としては、プロップ三上正貴ら日本代表が第一列にならぶスクラムでプレッシャーをかけ、パナソニックのリズムを狂わせたい。

 日本代表のジョーンズHCは、かつてこう言っていた。「日本はポゼッションをベースとし、勇気を持って、他国とは違うジャパン・ウェイを遂行することが必要になってくると思う。もっとフィットネスを上げ、もっと速くプレーすることを増やしていかないといけない。経験値も増やしていきたい」と。

 経験値を増やすためには、高いレベルの試合をするのがイチバンである。だからこそ、TLプレーオフでも内容の濃い、白熱した戦いを期待したい。

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