水谷隼の「なかなかマネできない」筋力の調整力に驚き。明治大ダブルスのふたりは「ラリーに持ち込んだら絶対に負けない」 (3ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by Nikku/Xinhua

【驚いた水谷の"調整力"】

――パリ五輪への思いも口にされていましたが、ふたりとも東京五輪のチームに帯同し、大舞台で戦う代表選手の姿を見てどのような気持ちになりましたか?

戸上 僕たちは東京五輪の事前合宿から帯同させてもらって、観客席に座って試合を見られる機会をいただけたことには感謝しかありません。大会中は、選手から感じられる緊張やプレッシャーが想像以上のもので驚きましたし、そのなかでも勝利につながるプレーができる3人は本当にすごいと思いました。

 水谷選手と丹羽選手は明治大学の尊敬する先輩ですけど、試合中はさらに背中が大きく見えましたね。それを近くで見て、「次の五輪は自分が必ず出場して、日本卓球界に貢献したい」という気持ちが強くなりました。

宇田 僕は、東京五輪の試合は「3年後は自分がそこに立つ」つもりですべて見ていました。戸上も言ったように、今までで一番緊張感がある大会でしたし、五輪だからこその難しさ、1点の重みをすごく感じました。合宿からチームに帯同するなかで、「そこに調子のピークを持っていくのか」という驚きがありましたね。その高い"調整力"は、近くで見ていて本当に勉強になりました。

――その"調整力"の高さは、具体的にどういう部分を見て感じたのですか?

宇田 水谷さんたちを見て感じたのは、細かい技術や、ダブルスで使う連携プレーの調整です。しっかりと試合を想定した練習をして、それらが最大限に高まった状態で本番を迎えていたので、本当にすごいと思いました。

戸上 僕が感じたのは、筋力の"調整力"です。合宿当初は技術面もそうですが、体もあまり仕上がっていません。フットワークなどの動きの感覚や、試合勘もほぼ失っている状態なんです。でも、特に水谷選手を見ていると、日を追うごとに肉体の状態が右肩上がりになっていって、合宿の初日と比べて筋肉量が目に見えて違うんですよ。試合勘も鋭くなって、五輪の舞台で相手を圧倒する余裕がある状態まで持っていっていた。「これは、なかなかマネできないな」と感じました。

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