おりひめジャパン、選手の目に涙。
強豪相手に「ふたつの課題」が露見
ハンドボール女子の世界選手権(熊本)。12月11日、日本はルーマニアに37-20と快勝した。その勝利で、24チームが参加するようになった1997年大会以降の最高順位となる10位が確定。11月30日の初戦から8試合を戦い抜いた選手たちは笑顔で大会を締めくくった。だが、本当の勝負の試合はその前日、12月10日に行なわれたスペイン戦だった。
おりひめジャパンの選手たちは、泣いていた。
主将の永田しおり(オムロン)や角南果帆(ソニーセミコンダクタ)は目に溢れるものをこらえ、大山真奈や角南唯(ともに北國銀行)の頰には涙が伝っていた。池原綾香(ニュークビン・ファルスター)は人目をはばからずに泣き、チームスタッフに抱きかかえられて歩いていた。
スペインに31-33で敗れ、2次リーグ敗退が決まった試合後、取材エリアに現れた選手たちの姿がこうだった。
スペイン戦に敗れ、2次リーグ敗退が決まった日本 準決勝進出の可能性は消えていたが、勝てば5位~8位を決める順位決定戦に進む望みをつなぐことができた試合だった。1次リーグを全勝通過した欧州の強豪相手に、日本は勇敢に、そして恐れることなく立ち向かった。
前半を終えて13-17。ここから底力を見せた。後半開始から、今大会はそれまでCB(センターバック)に入っていた司令塔の大山を今大会で初めてRB(ライトバック)に配置し、CBにはベテランの石立真悠子(三重バイオレットアイリス)を起用。この策が当たった。
「大山は守備が強いので、これまでよりもディフェンス力が上がる」というウルリック・キルケリー監督の狙いどおり、スペインの攻撃に対して前に出て圧力をかけていく。相手のミスを誘い、パスを奪って速攻に出る場面も増え、後半11分過ぎに21-21と追いついた。そして後半17分過ぎ、一度は25-24と逆転した。
欧州の強豪を撃破するのか――。会場は沸いた。しかし、そこで畳みかけられない。ミスも重なり、結果的に2点差で惜敗。
キルケリー監督は試合後、「この試合が今大会、ここまででベストパフォーマンスだった。選手たちを本当に誇りに思います」と、奮闘した選手たちをねぎらった。しかし、敗れて満足している者はいない。「勝つチャンスもあったし、惜しいゲームっていうことはわかっている。けど、そういうゲームじゃなくて結果を出さないといけない」。永田は悔しさをにじませ、絞り出すように言った。
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