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水谷隼の変幻自在ラリーに大興奮。
Tリーグ制覇へ木下が彩たまを下す (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by T.LEAGUE

 その試合で木下の勝利は決まったが、Tリーグではマッチカウント4-0になると勝利チームに勝ち点1が追加されるため、勝負を決した後の第4マッチも重要な意味を持つ。彩たまとの差をさらに広げたい木下は、リーグ再開の直前にチームに加入した"秘密兵器"の侯英超に最後を託した。

 元中国代表の38歳のベテランは、香港代表でエースを務める黄鎮廷の強打をことごとくカットしていく。強烈なスピンがかかったボールの変化に観客は息を呑み、「スコーン」というラバーとボールの接触音が静まり返った会場に響き渡った。そんな独特な雰囲気のなか、大きな体からは想像できない繊細なタッチで淡々と得点を重ねていった侯英超が、木下に完全勝利をもたらした。

 大事な一戦を制した木下は翌日も琉球アスティーダに3-1で完勝。一方の彩たまは、岡山リベッツに2-3で惜敗して3位に転落した。これで、レギュラーシーズン1位の座は木下でほぼ決まったと言えるだろう。

 だが、"打倒・木下"に燃える策士の坂本監督は、9日の試合後にこんな展望を話していた。

「最終的に(ファイナルに進出できる)2位までに入ることが何より重要。そして、一発勝負のファイナル初戦でダブルスを取れれば......。ウチはダブルスの名手が多く、バリエーションは相手も予測できないはずですから」

 2位に浮上した岡山と彩たまの勝ち点差は3。3月17日に両国国技館で行なわれるプレーオフ・ファイナルで、再び木下と彩たまが熱戦を繰り広げる可能性は十分に残っている。残り4試合で再び彩たまが勢いを取り戻すのか、それとも岡山がこのまま2位の座を死守するのか。佳境を迎えたリーグの行く末から目が離せない。

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