水谷隼の変幻自在ラリーに大興奮。Tリーグ制覇へ木下が彩たまを下す
2月9日に行なわれた、Tリーグ男子のT.T彩たまvs木下マイスター東京の上位対決は、「初代Tリーグ覇者を占う天王山になる」との見方が強かった。
理由は彩たまの好調ぶりにあった。その試合の前まで、1月のリーグ中断を挟んで5連勝。2月2日の木下との対戦では張本智和が欠場したとはいえ、戸上隼輔が水谷隼をシングルスで破って勝利し、この日を含めて昨年末から4連敗を喫した首位・木下との勝ち点差を6に縮めた。
木下の独走ムードにストップをかけた彩たまが9日の試合にも勝てば、レギュラーシーズン1位で3月のプレーオフ・ファイナルを迎えられる可能性が高まる。埼玉県越谷市の会場を訪れた彩たまのファンからは、ホームチームの逆転劇を願う熱い声援が飛び交っていた。
だが、彩たまの坂本竜介監督が試合後に「世界選抜みたいなメンバーだった」とコメントしたとおり、この日の木下のメンバーは強力だった。水谷、張本のWエースに加え、全日本選手権シングルスで準優勝した大島祐哉、元中国代表のカットマン・侯英超(ホウ エイチョウ)が顔を揃え、彩たまの希望を打ち砕くことになる。
勝敗を分けたのは、第1マッチのダブルスだった。
高い勝率を誇るダブルスが"生命線"になっている彩たまは、高木和卓・黄鎮廷(ウォン チュンティン)のペアで、水谷・大島の日本代表ペアを相手に先手を取りにかかった。激しいラリーの応酬となった試合は、2セットともデュースにもつれる接戦になる。しかし最後は水谷・大島ペアの力が勝り、セットカウント2-0で木下に軍配が上がった。
9日の試合でダブルスを組んだ水谷(左)と大島(右) 木下の邱建新(チュウ ジェンシン)監督も「ダブルスが1番の勝因」と試合後に話したが、この1勝が彩たまの勢いを止めることになった。
続く第2マッチのシングルスには、全日本選手権から約3週間ぶりの実戦となった張本が登場。相手の平野友樹は、それまでに2度対戦して1勝1敗という"難敵"だ。しかも張本は、全日本選手権の直後にインフルエンザを発症し、一時は39.4度の高熱が出たという。
「体調はまだ万全ではないし、本調子ではなかった」と張本は振り返ったが、試合内容は圧巻だった。チキータレシーブや変則フォアハンドを織り交ぜ、平野にまったく自分の卓球をさせずに3-0のストレート勝ちでねじ伏せた。
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