「打倒中国」はもう夢じゃない。日本史上最強メンバーで世界卓球Vへ (3ページ目)

 昨年の世界卓球に続く連敗となり、大会後の「今日の張本がいつも通りの100%の力だとしたら、何回やっても勝てないと思う」というコメントも印象的でした。水谷選手が今年で29歳になることもあり、"世代交代"が頭をよぎったファンもいらっしゃったかと思います。

 しかし水谷選手は、今年3月の卓球ジャパン・トップ12の決勝で雪辱を果たします。その試合では"張本対策"が見事にハマりました。本来は少し台から離れて戦うところを、前に出てのカウンターで張本選手のフォアハンド側を攻め、バックハンドを封じました。そこに、豊富な経験で培った引き出しの多さ、戦略を確実に実行する力、2度負けた相手に3度は負けられないというエースとしてのプライドを感じました。

 NTCで水谷選手は「今回の世界卓球は、東京五輪に向けての何かとは考えていない。今が中国を倒すチャンス。張本は樊振東選手に勝って、個人で中国に勝つことを経験した。丹羽(孝希)もだんだん調子も上がってきて、僕自身も団体戦はすごく強いと思っている。それが噛み合っていけば奇跡を起こせる」と話していました。さらに、国際大会で実績のある松平健太選手・大島祐哉選手も顔を揃えています。このメンバーで起こす"奇跡"が楽しみでなりません!

 一方の日本女子は、団体世界一に向けて石川佳純選手がキャプテンを務め、高校3年生トリオの平野美宇選手、伊藤美誠選手、早田ひな選手、そして15歳の長崎美柚(みゆう)選手と、ジュニア時代を含めて全日本女王に輝いたメンバーで戦います。

 その中でも、日本卓球界の中国選手への苦手意識を払拭するひとつのきっかけを作ったのは、やはり平野美宇選手だと思います。

 リオ五輪では試合に出られませんでしたが、その悔しさが平野選手を強くしました。昨年の全日本を制すと、同年4月のアジア選手権のシングルスで、中国の3選手を破って頂点に立ち世界を驚かせます。

 その大会後には、もともと中国選手は雲の上の存在だったとしながらも、「同じ人間だから勝てないはずはない」と頼もしい言葉を残しています。"かなわない相手"ではなく、"倒しにいくライバル"として中国との戦いに臨んでいく。その姿が周囲の選手にもいい影響を与えていきます。

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