日本初のプロ選手・松下浩二が「福原愛の笑顔」に思うこと (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by JMPA

 3位決定戦のシンガポール戦では、第1試合の福原選手が星を落としますが、石川選手のシングルス、福原選手と伊藤選手のダブルス、最後は伊藤選手のシングルスで勝利して銅メダルを獲得。シンガポールに勝利した直後の3人の笑顔が"微妙に"異なっていたのが、私には印象的でした。

 石川選手はシングルスだけでなく、団体でもロンドン五輪以上の成績(銀メダル)を獲ろうとしていたのでしょう。どこか悔しさをにじませた笑顔と、早くも心は東京五輪にあるように見えました。

 対する伊藤選手の純粋な笑顔は、結果に心から満足していたからではないでしょうか。団体の準決勝・第1試合でのまさかの逆転負けと、銅メダルを決めた3位決定戦・第4試合での勝利。この敗北と勝利は、伊藤選手をさらに成長させる大きな2試合になったと思います。東京五輪では、ひと回り大きくなった伊藤選手のプレーを見られるはずです。

 そして福原選手の笑顔には、安堵感がにじんでいたように感じました。最後は調子を崩しましたが、それでもすべてを出し切り、「メダルを継続する」という使命は死守できたという思いがあったのでしょう。女子選手で4大会連続の出場を果たした彼女の経歴は、それだけでも偉業です。あの笑顔を見ると、今後引退を決意しても競技人生に悔いはないと思います。

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