卓球・丹羽孝希「中国選手のドライブはテニスボール並みの重さ」 (5ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  露木聡子●写真 photo by Tsuyuki Satoko


――ただ丹羽選手を近くで見ると、右肩の筋肉の盛り上がり方がすごいですね。

「フィジカルが大事なんで。中国人選手のドライブは、比喩ではなく、ラケットが弾かれるんです。素人の人が受けたら、感覚としてはテニスボールくらいの重さに感じると思います。だから打ち返すには、筋力が必要で。ただ、写真を撮られる時なんかは、どうしても筋肉のつき方が左右でかなり違うんで、『左が下がってるよ』って言われちゃうんですけどね(笑)」

――背が低いことのメリットは、ひとつもないですか?

「唯一あるとしたら、ダブルスに関しては小さいほうが有利かなと思います。1球ずつ交代で打たなければいけないんで、打ったら回らなければいけない。体の小ささが、有利に働くと思います」

――なるほど。

「それとダブルスは、シングルスよりも圧倒的に強い選手のペアに勝ちやすいんですよね。強い選手と強い選手が組んだから強いってことではないですし。とにかく練習量とパートナーとの相性やコミュニケーションが大事なんです」

――リオ五輪での活躍で、卓球ファンが急増したと思います。街を歩いていて、声をかけられたりしませんか?

「1日に本当に何人かですけど、声をかけられたりはしますね。ただ、電車に乗っている時に『丹羽さんですよね?』って声かけられるのは、恥ずかしいです。乗客に一斉に見られるんで。さすがに『違います』とは言えませんから。(福原)愛ちゃんや石川(佳純)さんが変装しているところとか見ていますんで、きっと、水谷さんもこれからそうなるのかなって」

――来春、中学・高校の卓球部に入部する人が増えそうですが、競技を始める人にアドバイスをください。

「上達するまでに時間がかかる競技なんで、上達する前にやめてしまう人が多いと思うんです。根気よく続けてもらえたらと思います。ただ、練習だけではつまらなくなってしまいます。僕も2ヶ月くらい試合がないと、『なんのために練習してるんだろう』と、ふと思ってしまうこともあるんで。小さな大会でいいので、試合で勝つ喜びを知ってもらえれば、きっと楽しくなると思います。

 もちろん、強い人と弱い人の差がすごい出る競技でもあるんで、最初はサーブを1本も返せず試合が終わることもあります。その時に、『つまらない』と感じるのではなく、『おもしろい』と感じる人が、上達していくんじゃないかなと思います」

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