スカッシュ・松井千夏、号泣。「実らなかった五輪への思い」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●文 text&photo by Saito Kenji

 SNSによる活動も積極的に行なった。ツイッターとフェイスブックを利用して、スカッシュに関して「つぶやく日」を決めて、世界中にアピール。日本においても、「新国立競技場にスカッシュ専用コートを!」というキャンペーンを展開し、約2万人の署名を集め、衆参両議院に請願書を提出した。

 だが、そうした努力はまたも実らなかった。現地9月8日のIOC委員の投票は、レスリングが過半数の49票を獲得し、1回で2020年の追加正式競技として決定。野球が24票、スカッシュは22票で最下位となり、3度目の正直はならなかった。

 レスリングに決まった瞬間、松井はしばらく呆然とし、泣き崩れた。現実的な年齢を考えると松井が夢としてきたオリンピック出場の可能性はほぼなくなってしまった……。それでも「みんなから力をもらいましたが、新しいスポーツとして採用されず、悔しい。もっとももっとスカッシュファンみんなで戦わないとオリンピックは勝ち取れない。やっぱりやめたくないし、あきらめたくありません!」と目を赤くしたまま、気丈に語った。

 続けて、4度目の挑戦となる2024年オリンピックの正式種目採用を勝ち取るべく、前を向いてアピールした。

「もっともっといろんな人を巻き込みましょう。本当にまだ運命は変えられます。必ず夢は勝ち取ることができると思います。一年一年を大事にして、若い選手たちと同じ気持ちを持って、自分がやれることをやらないといけない」

 スカッシュ界のアイドルは、今後も競技生活を継続し、悲願達成のために自らの人生を捧げていく覚悟だ。

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