八村塁と河村勇輝が示す「世界基準」 バスケ日本代表、ワールドカップ予選Window4で問われる「最強チーム」の現在地 (3ページ目)
【「高い生産性」というテーマをどこまで追求できるか】
現状における最強チームだと言っていい日本代表が、FIBAワールドカップアジア予選のWindow4に臨む。この予選は、各国が期間を分けて総当たり戦を行なうWindow方式で進み、Window4からは上位進出をかけた2次ラウンドに入る。
2次ラウンドでは6チームずつの2組に分かれて争われる。開催国枠ですでに出場権を得ているカタールは順位計算から除外され、各組上位3チームと、さらに各組4位のうち成績が上位の1チームが本大会への出場権を手にする。
3大会連続のワールドカップ進出を目指す日本(世界ランク22位)は、ここまでの同予選で4勝2敗の戦績を記録。1次ラウンドの成績を持ち越す形で行なわれる2次ラウンドで、日本はレバノン(同31位、5勝1敗)、サウジアラビア(同65位、3勝3敗)、カタール(同76位、4勝2敗)とそれぞれホーム&アウェーで対戦する。前回大会の予選を踏まえて見ても、6勝は本大会出場権を獲得するうえでひとつの目安となる。
Window4で日本は日本時間28日未明にアウェーでサウジアラビアと対戦し、31日には東京でカタールを迎え撃つ。故障により韓国戦を欠場した渡邊雄太(千葉ジェッツ)の出場可否が気になるが、八村と河村のいる日本代表とすれば、このWindowを2連勝でワールドカップ本大会への切符を大きく手繰り寄せたいところだ。
八村、河村以外の選手たちのプレーぶりにも、注視したい。Window4での試合に出場しそうなメンバーの多くがパリ五輪にも出場しているが、この2年間でHCが代わり、彼らは経験と自信という「レンガ」を積み上げてきた。西田優大(シーホース三河)が「『どうしよう』みたいに考えていました」と語ったように、以前の日本には八村への過度な依存が少なからずあった。これが実際にどこまで改善されているかも、今回の2試合での見どころとなる。
また、八村自身も彼の加入前の日本代表が時間をかけて培ってきた「ケミストリー」の存在を認めたうえで、チームの「スタイルに僕が合わせるようなプレーをしている」と話している。28歳となった八村の精神的な成長を感じさせると同時に、彼とチームの信頼関係が深まっている証左のように感じられる。
川﨑ブレイブサンダースのHCを兼任している桶谷HCはBリーグ、日本代表、両方で「ハイプロダクティブ」なチーム作りを心がけている旨を語っている。ハイプロダクティブとは「生産性」を意味する。それは選手やスタッフの能力を結集し、総合力を高めることが、勝てる集団の構築につながるという信念を物語るフレーズだとしていい。
八村や河村がどれだけ抜きん出た実力を持っていても、それだけで高いレベルの国際試合に勝てるほど甘いものではない。そのことは東京、パリとオリンピック2大会で日本が1勝も挙げられなかったことでも示唆されていると言えるかもしれない。
だからこそ、Window4で新体制下の日本代表がどのように戦うかが興味深い。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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