【NBA】河村勇輝のシカゴ・ブルズでの挑戦をどう見ているのか? ジョーダン時代からNBAを追い続ける大ベテラン記者の視点 (2ページ目)
【生き残るためには"正しい状況"を見つけることが大事】
河村についての印象を語ってくれたスミス記者 photo by Sugiura Daisuke 今後、ユウキがNBAで生き残るために、まずは彼にとって"正しい状況"を見つけることが大事だと思う。正直、今のブルズの状況は彼には厳しいものがある。ガードの層がとても厚いからね。ここではあまりチャンスをもらえないと思う。
でもGリーグでプレーして、そこで自分の力を示すことができれば、話は変わってくる。攻撃的にプレーして、得点を狙いながらも、自分の持ち味──仲間を生かすプレー、ディフェンス、ロールプレイヤーとしての働き──を発揮する。Gリーグでは、得点だけでなく"他に何ができるか"が重視される。だから、少しでも得点ができて、ディフェンスを引きつけられるようになれば、ほかのチームにも『この選手は使える』と印象づけられるはずだ。
繰り返すが、ブルズでチャンスを得るには、ケガ人が出るなどの偶然が必要かもしれない。そうでなければ、定期的なプレー機会は与えられないだろう。ただ、彼がGリーグで結果を出せば、ほかのチームが興味を持つ可能性は高いと思う。
もちろん簡単なことではないが、ユウキと同じサイズの選手はこれまでも存在した。そして、ユウキと彼らとの共通点は、"自分のサイズを意識していない"ってことだ。
彼は自分が5-8(約173センチ)だとわかっていながら、6-8(約198センチ)くらいの選手のようにプレーしている。NBAで生き残っていくには、そういうマインドが必要なんだ。『誰にも怖気づかない』『相手が6-8でも6-9でも、レブロン・ジェームズでも、自分は引かない』──そういう姿勢を持っている。私が彼に感心したのはそこだね。自分のサイズをハンデだと思っていない。自分を"そのサイズの選手"として見ていないんだ。そんな選手だから、私もユウキがこれからアメリカでどんなキャリアを歩んでいくかを楽しみにしているよ。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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