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【男子バスケ】複数年契約なのになぜ契約解除? 1年ごとに継続を発表? ベテラン代理人が語るBリーグの契約Q&Aと移籍が多い理由 (3ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka

【複数年契約と情報公開による透明性】

――複数年契約を結んでいるのに、1年ごとに「契約継続」とリリースを出すチームが多いですが、正直、違和感はあります。仮に複数年契約のなかにプレーヤーオプション、チームオプション(選手、チームのいずれかがある時期に契約継続の意思を決めることのできる権利)などが付帯されているのであれば、契約を締結した際に付帯条項も併せて発表すれば、のちのち外から見ていても物議を醸す要素を減らす効果もあると思うのですが。

鴨志田:逆に、複数年契約を結んでいても、そのことを公表していないケースがあります。そして、そのような類の情報を出す、出さないはチーム側の判断で行なっていることで、Bリーグとして決まり事をつくっているわけではありません。おそらく、複数年契約であろうとなかろうと、「A選手が契約しました」という情報を出すことでブースター(ファン)を喜ばせる意図があるのだと思います。 ‎

 複数年契約は最長4年まで可能で、これまではその詳細を明かされないことが多かったのですが、近年は、4年とか2年とか契約年数は公表されるようになってきています。

 おっしゃるようにここまでリーグが成長して、いろんな契約形態があるので、たとえば、4年契約のうち3年目以降はプレーヤーオプションの付帯条項がつくなど、もう少し詳しい内容も公表したほうが、透明性は出てきます。 ‎

――とにかくBリーグは移籍が多いです。その理由はどのように考えていますか。試合に出場できるのが5人と他のプロリーグのある団体競技に比べても少ないことが一因にあるとは思いますが。

鴨志田:それゆえ、プレータイムや戦術との相性が移籍の主な理由になると思いますが、1年契約が多いことがベースにあると思います。

 また、選手の成長とチームの成長が一致していない状態が続いてきたこともあります。つまり選手のプレーレベルや意識が高くなっていくなかで、選手の要望に応えられる環境(練習場やバックアップ体制など)整備ができているチームが限られていたということです。一部のエリートチームに全員が行けるわけではないので、自分が選べる最善の選択を繰り返していく、という意味で、多くの移籍が行なわれているという構図です。

 2シーズン後から始まるBプレミアでは、練習場などのインフラも参入条件に盛り込まれているように、選手を取り巻く環境整備が進み、どのチームも複数年契約選手が主流となれば、移籍の数は今より減っていくと思います。

つづく

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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