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【男子バスケ】複数年契約なのになぜ契約解除? 1年ごとに継続を発表? ベテラン代理人が語るBリーグの契約Q&Aと移籍が多い理由 (2ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka

【契約解除にはさまざまな形がある】

――まず、Bリーグのレギュラーシーズンは10月から翌年の4月下旬〜5月上旬で組まれていますが、次シーズンの契約交渉が1月1日から解禁となるのはなぜでしょうか。

鴨志田:Bリーグを含めた日本のバスケットボール界はFIBAのカレンダーに基づいて規則がつくられているのが大きな理由だと思います。FIBAで何か統一したルールが設けられているわけではありませんが、特に外国籍の選手やコーチは、NBAを除く世界中のチームと同じような時期から交渉を始めていきます。

――一方で選手の契約内容に関する情報は、あまり公開されない印象があるなか、「契約解除」という概念もよく目にします。NBAに親しんでいるファンからすると、いま一つ抽象的な印象を受けますが、FIBAベースのリーグでは一般的なことなのでしょうか。

鴨志田:そうですね。例えば外国籍のヘッドコーチや選手が早い段階で他国のチームと次シーズンの契約について合意しても、あとからいい条件があれば、破棄(契約解除)するケースもあります。

 契約解除についてはその権利を選手側、チーム側のどちらに付するかによって、いろんな形があります。選手側が1カ月ごとに解除する判断をできる契約もありますし、選手のパフォーマンスが悪かった場合はチーム側が1カ月分多く給料を払えばいつでも契約解除できるという条項なんかもあります。

 そうした詳細な条項はほとんど公に説明されないので、ファンからすると「なぜ解除されたのか」と疑問が生じるケースもあると思います。これまで日本人選手は1年間の完全保障が基本であること、その一方で外国籍選手は1〜2カ月の単位で契約解除条項が盛り込まれるケースもあり、一概には説明できない部分もあるので、理解しづらいかもしれません。

――このオフには、広島ドラゴンフライズと中村拓人選手のやり取りで、物議を醸しました。複数年契約を結んでいた中村選手が2年目の来季も広島でプレーするとチーム側が発表したのち、中村選手が自身のSNSで移籍についてシーズン中から協議を続けているのにチーム側が契約継続のリリースを出してしまった旨を明かしました。最終的には中村選手が広島との契約をバイアウト(買い取り)して群馬クレイグサンダーズへ移籍。広島、中村選手双方が合意しての移籍という結論になりましたが、時系列で追っていくと違和感は拭えない部分が残りました。

鴨志田:私自身が当事者ではないので、是々非々については判断しかねますが、基本的に選手は雇われる側なのでどうしても弱い立場にあります。そのうえでもし仮にシーズン中から移籍に関して協議していたのであれば、チーム側から継続について発表された時は相当困ったと思いますし、自身の意図とは異なる方向で話が進まないよう、自分の立場を自ら発信すべきと判断したのだと思います。

 一連の流れで判断すれば、複数年契約期間中の中村選手が何らかの理由で契約をバイアウトして移籍しているわけですから、広島との契約には契約解除条項が含まれていなかったことが推測できます。

 チームの経営方針にもよりますが、複数年契約を結ぶ場合、私なら契約解除条項を含める希望を出すことが多いです。

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