バスケ日本代表が世界王者ドイツに勝つためには? 元キャプテン篠山竜青の分析「カギはこっちが握っている」

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

元日本代表キャプテン・篠山竜青が分析
パリ五輪に挑む男子バスケ日本代表の実力(後編)

◆篠山竜青・前編>>八村塁が加わることで「可能性は無限大に広がる」

 トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)率いる男子バスケットボール日本代表が、いよいよ48年ぶりに自力で出場権を獲得したオリンピックの舞台に立つ。その主役となる「チームの顔」は、NBAの世界を知る八村塁(PF/ロサンゼルス・レイカーズ)や渡邊雄太(SF/千葉ジェッツ)だけではない。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 若き司令塔として攻撃のタクトを振るう河村勇輝(PG/横浜ビー・コルセアーズ)、長距離を苦にしない3Pシューター富永啓生(SG/前・ネブラスカ大)、ゾーンにハマると止まらないベテラン比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)、インサイドを制する巨人ジョシュ・ホーキンソン(C・PF/サンロッカーズ渋谷)......いずれも主役となり得る逸材ばかりだ。

 それぞれ異なる才能を持つ彼らが、パリオリンピックでどんな活躍を見せてくれるのか。元日本代表キャプテンの篠山竜青(PG/川崎ブレイブサンダース)に見どころを語ってもらった。

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河村勇輝は優勝候補ドイツに一矢報いることができるか photo by AFLO河村勇輝は優勝候補ドイツに一矢報いることができるか photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る── パリオリンピックでファンが注目しているのは、八村選手と初めて一緒にプレーをする河村選手や富永選手との融合です。

「コンビネーションはすごく楽しみにしています。不安は少ないと思いますが、河村選手には序盤からアグレッシブに攻めてほしいですよね。韓国との強化試合の初戦を見ていても、序盤はパスを散らして、第4クオーターでやっとエンジンがかかってアタックモードになりました。

 でも、パリでは世界が相手なので、序盤にパスを散らして様子を見ていたら試合が決まっちゃう。なので、試合の出だしからアグレッシブにかき回してほしいですし、八村選手や渡邊選手がいればそこに集中できると思います。河村選手には自分のよさを、もっと突き詰めてほしいです。

 富永選手に関しても、彼が世界からリスペクトされればされるほど、スペースを作れる選手になっていくと思う。相手ディフェンダーが彼から離れられなければ、渡邊選手、河村選手、八村選手にアタックしていくスペースが生まれるわけです。ちょっとでもスキがあれば富永選手は3Pシュートを打てるので、積極的にやってほしい。

 若いふたりには、誰々がチームに入ったからじゃなくて、とにかく自分のよさを出してほしいです。『(八村選手や渡邊選手という)ケツを拭いてくれる』人たちがいるんだから、よりアグレッシブな姿勢を見せてほしいですね」

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プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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