NBAのスカウトに聞いた「八村塁が活躍するために必要なこと」 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 強靭な体と稀有なバネを持つ21歳は、ドラフト前から「フィジカル面はプロレベルでも問題ない」という評価が多かった。2年目、3年目の選手を相手に当たり負けしなかった今回のサマーリーグで、それは裏付けられた。だからといってこのスカウトも、八村がNBAでもすぐにハイレベルな数字を残せると太鼓判を押しているわけではなかった。

「NBAでの成功のためには、アウトサイドからのシュート力とボールハンドリング能力を示しつつ、ポストプレーもこなし、イン&アウトの両方でプレーできることを証明しなければいけない。サイズ的にはSFとPFの間くらい。NBA では3ポイントシュートが打てる、いわゆる"ストレッチ4(アウトサイドからでもシュートが打てるPF)"としてやっていくことになるのだろう。だとすれば、少なくとも標準レベルで3ポイントシュートを決めることが必須になる」

 ウィザーズは、スモールラインナップ時のPFとして八村に期待をかけている――。そんな声はドラフト直後からあったが、その青写真どおりの働きを見せたのが11日のホークス戦の後半だった。

 前述どおり、この日の八村の立ち上がりは必ずしもスムーズではなかったが、後半に一変した。第3クォーターの残り8分強に3ポイントシュート決めて以降、視界は劇的に広がっていった。

 今大会初のスリー成功で波に乗った八村は、その後にプルアップジャンパー(ドライブからドリブルを止めて打つミドルシュート)、3ポイントなどで、このクォーターだけで10得点。続く第4クォーターにもアリウープ・レイアップ、ミドルシュート、フリースローを正確に決め、後半だけで19得点という"支配的"なパフォーマンスを見せた。

 得点を量産できた理由は、本人の硬さがついに取れただけではなかったはずだ。第3クォーターに2本の3ポイントを決めたことで、相手ディフェンスも八村のロングシュートを警戒せざるを得なくなった。おかげで、ペリミター(3ポイントラインより内側でペイントエリアより外側のエリア)で自由に動ける攻撃スペースができたのだろう。

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