NBAセルティックスとスパーズは「3年連続同カード」を阻止できるか (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 対するセルティックスの主役は、「小さな巨人」アイザイア・トーマス(PG)だ。

 プレーオフ直前に妹を交通事故で亡くす悲劇に見舞われたトーマスは、カンファレンス・セミファイナル第1戦では第1クォーターに接触プレーで前歯を折るアクシデントも発生した。第2戦の前日に口腔外科手術を受けたものの、唇は腫れあがり、まともに話せない状態。それでも試合に出場し、プレーオフ自己最多の53得点を挙げて勝利に導いた。トーマスは強行出場した理由をこう語っている。

「今日は妹の誕生日。23歳になるはずだった。僕にできるせめてものことは、彼女のためにプレーすること。だから、プレーしないという選択肢はなかった。彼女のために勝ちたかった」

 プレーオフに入り、ギアを一段上げてきた感のあるキャブスとレブロン。チーム力を比較すれば、キャブス有利は揺るがないだろう。さらにセルティックスはファーストラウンドで6戦、カンファレンス・セミファイナルで7戦を要したため、すでにキャブスより5試合も多くプレーしており、疲労度を比較しても圧倒的に不利だ。

 ただし、シカゴ・ブルズとのファーストラウンドでは2連敗からの4連勝で逆転勝利。カンファレンス・セミファイナルでは因縁深い宿敵ウィザーズを第7戦で葬るという劇的な勝ち上がり方を見せてきた。セルティックスは不利な状況になればなるほど、ミラクルを起こす力を発揮するのかもしれない。

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