【NBA】引退間近!? コービー・ブライアントの寂しすぎる最近の言動 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 思えば、そのころに身に着けたスキルが、今、36歳になったコービーを助けている。以前のようなスピードと運動能力を生かしたプレイから、タイミングやフットワークなどのスキルで戦うスタイルに変えることができたのは、身体に基礎が染み込んでいたからだ。

 全盛期のプレイができなくなった現状についても、コービーは意外なほどざっくばらんに語る。シーズン序盤には自分ひとりで20本、30本、多いときには40本近くシュートを打っていたが、クリスマス前後に疲労から3試合欠場して以来、どの試合でも15本以内と激減している。

「自分でゲームを支配しようとしたけれど、身体がもたなかった。いつもなら決めていたようなシュートを外していた。もう、以前のような負担は身体が受け入れられないんだ。そう分かったから、それを受け入れたうえで、(違う方法で)支配しようとしている」

 自信家のコービーが、これだけはっきりと自分の身体の衰えを認めることに驚く人も多いかもしれない。しかし、コービーはこうも言う。

「僕には多くの欠点があるけれど、一方で、長所のひとつは『現実的に考えられる』という点だ。現実的に考え、次に組み立てていくことができる。自分の弱点は分かっている。何ができて、何ができないかも分かっていて、それを受け入れている。そのうえで、支配しようとしているんだ」

 彼の引退が日に日に近づいていることを感じさせるコメントだが、文頭に、「寂しさを感じることもある」と書いたのは、このコメントが理由ではない。むしろ、弱点を認めながらも、「支配する」という言葉を使うところは、相変わらずの自信を垣間見せていて、安心したりする。

 寂しさを感じるのは、負けた試合の後に、上位争いをしている他チームの強さや補強の成功についての質問が躊躇(ちゅうちょ)なくコービーに投げかけられることだ。そして、コービーがその質問に対して噛みつくことなく、冷静に答えていることだ。今季のレイカーズがプレイオフに出られる可能性はほとんどなく、そのことを周囲はもちろん、コービー自身も受け入れたという空気が漂(ただよ)っている。優勝至上主義のコービーにとって、それは身体が衰えていること以上に認めたくない現実なのではないだろうか......。

 12月半ば、オクラホマシティ・サンダー戦後にも、こんな場面があった。ケビン・デュラントを欠くサンダー相手に接戦を演じたレイカーズだが、残り2秒でブライアントが放った逆転シュートが外れて1点差で敗れた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る