勇気ある決断。bjリーグからNBLへ参入する千葉ジェッツの狙い (2ページ目)

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

――まずはビジネスモデルの変換としてのNBLへの参入ということですね。ただこのタイミングというのは他にも狙いとして考えられたことがあるのではないでしょうか。

島田「これからバスケ界の統廃合がどういう形で進むのか、私はもう一回ぐらい再編があると思っています。その時、我々がソフトランディングしやすいということ。もちろん、私も心から統合を望んでいます。数年先に統合した時に少なくともルールは協会傘下の(NBLの)ものが踏襲されていく可能性のほうが高いわけです。

 その時、うちがすでにそのスタイルでやっているのであれば、先行した利益はあるんじゃないかとかいうのを考えています」

―― もう一度再編がある、かなりその辺も見据えた。

島田「先を見据えているというのはあります。早めにアジャストするということです。関東でまだまだ苦戦している千葉の弱小チームでは、同じタイミングでよーいドンとなったら、結局イニシアチブを取れないでしょう。勝負した、というところですね」

――これは結果論になるのかもしれませんが、この勝負は大きな役割を示された。というのは、新リーグ構想が立ち上がって新規参入を募った。そこでもし千葉ジェッツが行かなかったら、JBLと結局変わらないではないかという批判が噴出したであろうし、実質的にそれはJBLとbjとの断絶を事実として露出させることになったかもしれない。そこは自覚されていたのではないでしょうか。

島田「そうですね。今回の新リーグ構想は統廃合を目的とはしていないということを明確にしているので、それが私としては非常に残念でした。bjがあってNBLがあって、今回うちが行くか行かないか、という話を最後まで引っ張って、結局、最終的には、これでうちが行かなかったら、たぶん(統合は)もう将来的に無理だと思ったんです。

 でも、千葉ジェッツが行くことによって何とかつなぎとめる。新しいルールで企業チームもこれからは自分たちで興業をしていくことになりました。我々には一応その経験があるので、bjのいいところをNBLに移植して、企業チームに対して『プロっていいよ』というところも見せたいですね。

 一方で企業チームから競技性の高いところはちゃんと受け取っていく。僭越ながらわれわれは『薩長連合』じゃないですけど、うまく橋渡しになるようなことも考えています」

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