【NBA】コービーが語る「カーメロ・アンソニーが変貌した理由」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 その意味では、今シーズンになってようやくカーメロを見る世間が、コービーの見方に追いついてきた。あるいは、カーメロ自身のプレイが、コービーの期待値に追いついてきたのかもしれない。12月17日現在、平均得点(リーグ2位の27.9点)、フィールドゴール成功率(47.3%)、3ポイントシュート成功率(45.5%)は、すべて自己平均を上回る活躍で、ニックスも18勝6敗とイースタン・カンファレンス首位。勝負どころで無理に攻めるのではなく、チームメイトを信頼してパスを出して勝った試合もあり、評価はうなぎ登りだ。チームを勝利に導く『不動のエース』の存在に、ホームコートのマディソン・スクエア・ガーデンでは、毎試合のように「MVP!」の大合唱が鳴り響いている。

「自分では、一日一日を(大切に)過ごすような姿勢でやっている。それに変わりはない」とカーメロは言う。「それでも(ファンのMVPの合唱は)聞いていて嬉しくないと言ったら、嘘になる。去年はそう(MVPに)なれる可能性はまったくなかったから。僕自身が努力し、チームとして励み、それが(ファンの)あの声につながっているのだと思う」

 実際、シーズンが4分の1を過ぎた現在、カーメロはMVPの有力候補として真っ先に名前を挙げられるほどだ。カーメロにとってはNBA10シーズン目にして初めて、NBA優勝も、シーズンMVPも、手の届くところまで近づいた。

 今シーズン、カーメロが変貌を遂げた理由について、多くの人がさまざまな説明をしている。

「アマーレ・スタウダマイアーが故障欠場しているため」「パワーフォワードのポジションでプレイしていることが、オールラウンド能力を生かすことにプラスとなっている」「ジェイソン・キッドやラシード・ウォレスといった優勝経験のあるベテランの加入が好影響を与えている」「マイク・ウッドソンHC(ヘッドコーチ)の手腕」「同年代のライバル、レブロン・ジェームズの初優勝に刺激を受けた」「ロンドン五輪でシックスマンを経験したカーメロ自身の意識の変化」

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