JBLとbjリーグの統合はなぜ進まないのか? (5ページ目)

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko
  • 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

――何が原因なんでしょうか。

「要は赤字になったら、どこが補填するのかと。だから、totoの中に入るような動きをするとか、考えていかないと。やはり第3、第4のお財布がないと厳しいですよね。その点、Jリーグなんかは器がやっぱり大きいですから」

――やはり、器、つまりスタジアムや会場のキャパシティの問題はありますか。

「動員・導線ってよく我々も言うんです。導線をどう敷けばお客さんが来るのか。非常に有効にダイナミックに考えられれば経費もかけられるんですよね。でも、バスケットの場合はやっぱり入って3000人という会場がほとんどです。1万人を超えるところで興業を行なうことがなかなか厳しくて、スポンサーがつかない。メディアもつかない。サッカーで言う平田さん(平田竹男・早稲田大学教授=元通産官僚で後にJFAジェネラル・セクレタリー)のような方がいれば、どうすれば、やるスポーツから観るスポーツに転換できるのかという道筋ができるんですが、いつもそこが抜けてしまうんですね」

――その理由は何なのでしょうか。

「競技スポーツで育ってきている人がその発想から抜けられないことかもしれません。『やるスポーツ、バスケット。それを支えるんだ』という意識はありますが、『観るスポーツを支える』という意識は希薄になっているのではないかと思います」

――そういうことですか。

「だからサッカーで言えば、今フットサルは、老若男女がやるスポーツで成立していますね。やるスポーツとしてのフットサル。で、観るスポーツとしてのJリーグ。本当にこれは理論と実践をきちっとやっていらっしゃると思うんです。バスケットも3オン3とか。フリースロー大会とかあるんですよ。いろんな方が参加できるものだったり、人数が少なくてもできたりする。そこの住み分けをきちっとしてあげて、やるスポーツと観るスポーツの区別をきちっとつけていけば、バスケットもスポーツ文化になっていくと思うんですけどね」

■続く

シリーズ 『スポーツ紛争地図』

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